レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが、本来2020年に行うはずだった復活ツアーを延期に延期を重ね、ようやく7月9日にウィスコンシン州で開始した。これはなんと11年ぶりのライブとなる。
ウィスコンシン州の地元紙Milwaukee Journal Sentinelが伝えるところによると、彼らはライブ中に中絶の権利を認めない判決を言い渡した最高裁を批判。「最高裁を中絶せよ」と掲げて、ザック・デ・ラ・ロッチャが、”Freedom”と叫んだ。ウィスコンシン州は現在中絶が禁止されている。映像はこちら。
その前にスクリーンに
「出産を強制する国でありながら、経済先進国の中で唯一産休が保障されていない」と映し出され、ザックが「フリーダム」と叫び、
「出産を強制する国でありながら、健康保険制度が整っていないせいで、出産には4000ドルから15000ドルもかかる」
「出産を強制する国でありながら、黒人の出産時の死亡率は、白人の出産時の死亡率より2、3倍高い」
「出産を強制する国でありながら、生まれた子供とティーネイジャーの死因の1位は銃による暴力だ」と掲げた後に、
大文字で、「最高裁を中絶せよ」と出るのだ。
その迫ってくる感じがレイジそのもので、これだけで全く鋭さが衰えていないのが分かる。
その他の曲についても、この新聞もローリング・ストーン紙も、新曲なんてなくてもそのままで今にぴったりだと書いている。レイジは23年間新曲がない。
前回復活ツアーした時も、私も全く同じことを書いた気がするので、良くも悪くもとも言える。しかし、もう世界がぐちゃぐちゃすぎて、2020年に復活するよりもさらに最高のタイミングで帰ってきたことは間違いない。
これがステージに登場した瞬間の映像。
最後の曲は”Killing in the Name”で、これはご存知のように1991年ロドニー・キング事件を受けて、1992年にリリースされたロサンゼルス警察の暴力を抗議する曲だ。つまり30年前の曲だが、全然今の曲なのだ。
レイジがさすがなのは、最高裁の判決が発表された後すぐに、この日のライブとこの後、シカゴで行われる2公演でファンがチケットの一部として支払ったチャリティ$475,000=なんと約6500万円!を、ウィスコンシン州とイリノイ州の中絶を支援する団体に寄付すると発表したことだ。
「俺達は、”ロー対ウェイド”の判決が覆されたことでうんざりしている。しかもこれが何百万人もの人達に影響を与えることになると思うと酷く落ち込む。半分以上の州(26州)が、即座に、でなければ間もなく、中絶を禁止するか、または中絶に関してかなり厳しい規制をすることになるから。
そうなると、影響を受けやすいのは、貧しい人達、労働者階級、不法滞在者、黒人、先住民や有色人種なのだ。
現在、俺達のファンはウィスコンシン州とイリノイ州のチケットの中から、$475,000をチャリティに支払ってくれた。俺達はその寄付金をウィスコンシン州とイリノイ州の中絶支援団体に寄付する。
これまでも多くの女性達が、出産するかしないかの自由を攻撃しようとする挑戦に対し洗練された反抗の道のりを組織してくれたが、我々も、反抗し続けなくてはいけない」
ツアー日程は以下の通り。
この日のセットリストとファンが撮影した映像。
The setlist
1. “Bombtrack”
2. “People of the Sun”
3. “Bulls on Parade”
https://youtu.be/QkwBccS3oBA
4. “Bullet in the Head”
5. "Revolver"/“Testify”
https://youtu.be/s7x3VVjt3Aw
6. “Tire Me”
7. “Wake Up”
8. “Guerrilla Radio”
https://youtu.be/F54nI6lYr3U
9. “Without a Face”
10. “Know Your Enemy”
11. “Calm Like a Bomb”
12. “Sleep Now in the Fire”
13. “War Within a Breath”
14. “The Ghost of Tom Joad” (Bruce Springsteen cover)
https://youtu.be/AjV43wo5U8w
15. “Freedom”/“Township Rebellion”
16. “Killing in the Name”
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