カニエ・ウェスト新作の中での大胆不敵ぶりを象徴する1曲。“奇妙な果実”のサンプリング

カニエ・ウェスト新作の中での大胆不敵ぶりを象徴する1曲。“奇妙な果実”のサンプリング

カニエ・ウェストの新作『イーザス』もう聴きましたか? 一刻も早く聴いてください!!!!!!!

それで、語りたいことは山ほどあるのですが、とりあえずまずひとつ。このアルバムでカニエ・ウェストがいかに大胆不敵なのかを表す1曲をご紹介。それは、“Blood of the Leaves”。インダストリアル・ノイズに溢れたと言えるアルバムの中で、完璧なタイミングで登場するソウル・ソングなのですが、そこで、ビリー・ホリデーの“奇妙な果実”をニーナ・シモンがカバーしたものがサンプルされて使われています。

曲を知らない方はこれです。
http://www.youtube.com/watch?v=tqbXOO3OiOs

1939年にリリースされたこの曲は、アメリカ南部の黒人人種差別に対するプロテストソングで、南部では、黒人を木から吊るして殺していたため、それを「ポプラの木に吊るされた奇妙な果実」と歌ったもの。重すぎるくらい重い曲です。

カニエの大胆不敵なところは、この曲をサンプルに使った曲で、普通に自分のリアルを歌っていること。彼本人の話なのかは分からないけど、本当だったら上手くいっていたかもしれない昔の彼女についてなんです。観に行ったバスケのコートで自分の奥さんは反対側に座っている、というような内容。

この曲の凄いところは、そんな軽いとすら言える歌詞でありながら、サンプルの重みが台なしになり、この曲が最悪になってしまったかというと、その逆であるということ。そういう歌詞の重みのなさを簡単に貶して終われないめちゃくちゃ良い曲なのです。そんなところに、カニエの尋常ではない才能が象徴されています。
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