昨夜行われたサカナクションがオーガナイズするイベント「NIGHT FISHING」。
クラブイベントだけではなく、ギャラリーでのエキシビジョンとか、トークショーとか、ファッションブランドとのコラボレーションとか、
つまり音楽の「周辺」にあるカルチャーや才能とのリンクを表現するようなイベントのメニューだが、にもかかわらず、というべきか、だからこそ、というべきか、どこまでも音楽的でサカナクション的な夜だった。
音楽に「まつわる」何かをミュージシャンが「紹介」する、というスタンスのイベントはたくさんあるし、またそういうことをしたくなるミュージシャンの気持ちも非常によくわかる。
つまり音楽じゃないことをしてみたい、という欲求は、音楽にのめり込めばのめり込むほど生まれてくるものであろうからだ。
そこのところでいくと、山口一郎という人はやっぱり特殊というか、徹底的に「ミュージシャン」なんだなあという気がする。
「NIGHT FISHING」は、多彩だったし、新鮮な切り口もたくさんあったけど、どこをどう切っても音楽が溢れ出てくるようなイベントだった。
そして、その真ん中で誰よりも楽しんでいたのが山口その人だった。DJやっているときも、袖でQrionやライゾマチームのパフォーマンス観ているときも、
サカナクションの岩寺・岡崎・江島による「NFSC」のパフォーマンスでいちばん盛り上がっていたときも、山口は心から楽しそうな顔をしていた。
前から山口はインタヴューでレイヴパーティをやりたいということを言っている。音楽と生活がすごく近いところにある、そんな空間を作りたいと言っている。
それは音楽の領域を広げていくというよりも、音楽ですべてを呑み込んでいくようなことなのではないかと、昨夜の山口を観ながら思った。
楽しむ、といっても鳴っている音は全然チャラくも軽くもなくて、むしろストイックで質実剛健なものだった。
それがそのストイックさゆえに極上のエンターテインメントになる、ってやっぱりサカナクションそのものだよなあ。
この「NIGHT FISHING」はこれからも続くという。どんな展開を見せるのか期待したい。
なぜサカナクションはこのパーティを作ったのか/「NIGHT FISHING」の夜が明けて
2015.07.04 12:43