そのすべてが、サカナクションならこれくらいやるよねというレベルを遥かに超えて、とんでもなかった。こんなにも圧倒的なカムバックのしかたがあるのか、と度肝を抜かれた。
でも、僕が何より感動したのは、その演出面の凄まじさもさることながら、サカナクションが堂々とロックバンドとして帰ってきたことだった。ロックバンドの爆発性とか青春性とか人間臭いところとか、愛に満ちたところとかキュートなところとか、その全部に、サカナクションは最大のプライドを注ぎ込んでいた。
これまでのツアーと比べてもエンターテインメントとしての幅は広がっているし、さまざまなカルチャーとのクロスオーバーも進んでいる、総合芸術的なライヴだけど、いちばんロックバンドでいちばんソリッドなサカナクションがそこにいた。
このツアー、今日がアリーナ最終公演だけど、サカナクションは明らかに生まれ変わっている。新しいエネルギーとモチベーションに満ち溢れている。ロックバンドというフォーマットから誰よりも自由で、だからこそ同時に誰よりもロックバンドであることを信じるバンド。これがサカナクションだ。
だから、“新宝島”のモッチのギターソロはこんなに泣けるのかもね。