「寂しいとか好きとか孤独とか、そういう感情は誰かがいて初めて沸き起こる」と、山内総一郎が何度も繰り返した。

今年リリースしたコンセプトミニアルバム『BOYS』と『GIRLS』の2枚が初対面を果たした今ツアー。果たしてこのふたつを引き合わせたら、どんな化学反応が沸き起こるのか。結果は「一言で言えば大成功」。山内のその言葉を待っていたかのように、会場からは大喝采が起こった。

“Girl! Girl! Girl!”での山内のハンドマイクやメンバー3人による“ブルー”のアコースティック演奏など、今回は演出面でも初めて挑戦することが多かった。そういったライヴアクトの面からも、この2枚のアルバムがバンドにとって革新の一手であることが物凄く伝わってきた。

今のバンドを表現するとしたら、「新しいフジファブリック」よりも「進化したフジファブリック」の方がしっくりくる。志村が居ないという事実を乗り超えるのではなく全て受け入れた3人は、昔も今も変わらずにフジファブリックだ。

「フジファブリックって、こんなバンドだったっけ？」ハンドマイクでのパフォーマンスを終えた山内は笑いながらそう話した。
そうなんだ、フジファブリックはまだまだ進む。もっとわくわくさせてほしい、もっと良い意味で裏切ってほしい！ そう思わずにはいられない、希望に溢れた夜だった。後日、改めてレポートします。(峯岸利恵)