ハイなのかローなのか、ドライなのかウェットなのか、とてもアンビバレントでコロコロと表情を変える歌声に、引き込まれる。4月27日に『マイ・デイズ EP』で日本デビューを果たしたシンガーソングライター、リア・ドウの話だ。
ご存知の方も多いと思うが、彼女は映画『恋する惑星』でも知られるスター歌手フェイ・ウォン(王菲)を母に、そしてロック・バンド黒豹でも活躍してきたヴォーカリスト=ドウ・ウェイ(竇唯)を父に持つ19歳だ。両親は既に離婚しているが、フェイ・ウォン1998年のアルバム『唱遊』(日本盤にはボーナス・トラックとして『ファイナルファンタジーⅧ』テーマ曲“Eyes on Me”も収録)では、本編ラストを飾る“童”をドウ・ウェイがプロデュースし、幼い娘ドウ・ジントン(竇靖童)ことリア・ドウの声がフィーチャーされたことで話題となった。当時を知る人なら感慨を覚えるだろう。
“My Days”(日本語字幕付き)
“Brother”(日本語字幕付き)
ボーイッシュであり、ときに可愛らしい女の子の顔も覗かせる現在のリア・ドウ。EP表題曲の“My Days”はアメリカや日本にも留学してアート/文化を学んできたという彼女らしい、若い逃避の心と冒険への好奇心が綯い交ぜになったポップ・ソングだ。また、カップリング曲でありshu uemuraとのタイアップ曲となっている“Brother”は、冷めた歌声で英語の歌詞を小気味よく弾けさせるガラージ・ポップ。そして“River Run”は、アンビエント・テクノやトリップ・ホップとの親和性を持っていた、ソロ・デビュー時期のビョークを彷彿とさせるところもある。本作の収録曲は、スティーヴ・ポーカロの娘であるヘザー・ポーカロと共作したらしい。
“May Rain”
さらに、リア・ドウは先頃、ニュー・シングル“May Rain”のMVも公開した。こちらはMPB風のオルタナ・ポップになっており、彼女が2013年に発表したジャズ/ボッサ風の“Blue Flamingo”の延長線上に仕上げられたという印象。“May Rain”のライヴ動画を漁ってみると、これがまたすこぶるかっこ良かったりする。母フェイ・ウォンもトロピカルなポップを歌うことがあったが、その影響もあるだろうか。若くして既にユニヴァーサルな視点をもったアーティストだ。
なお、リア・ドウは間もなくプロモ来日を果たす予定であり、5/14には渋谷のHMV&BOOKS TOKYOにて、『マイ・デイズ EP』購入者を対象にミニライヴ&特典会も行われるそうだ。ぜひチェックを。(小池宏和)