【コラム】 THE YELLOW MONKEY、いよいよ再始動! 今こそ響け“パール”!

【コラム】 THE YELLOW MONKEY、いよいよ再始動! 今こそ響け“パール”!

“バラ色の日々”“聖なる海とサンシャイン”(朝本浩文)、“SHOCK HEARTS”(森俊之)など初の外部プロデューサー導入曲、“メロメ”でのピアノ&ストリングスのみのアレンジなど異色ずくめのアルバムではあったが、この『8』が結果的にTHE YELLOW MONKEY解散前ラストアルバムになるとは、今作を聴いた時にはまったく、微塵も思っていなかった。それは何より、僕個人が“パール”というアンセムに途方もないロックの希望とロマンを感じていたからだと思う。

とはいえ。2013年のベスト盤『イエモン-FAN'S BEST SELECTION-』リリースに先がけて行われたファン投票では“バラ色の日々”1位に対して“パール”15位(ちなみに『8』の後に出たラストシングル曲“プライマル。”は13位だった)という結果からも、“パール”はバンド史的に見ればイエモン王道とは異なる楽曲だったことがわかる。聴く者の身体と脳裏に絡みつく妖艶さや業の深さ、それゆえの狂おしきドラマ性――といった要素とは別種の、ハイエナジーで描いた流線型の如きストレートなバンドサウンドでロックンロールユニバースの果てを目指す加速感。そして、シンプルなメロディのリフレインで無限のスケール感を描き出すような楽曲世界は、それまでのイエモン黄金律とは一線を画したものだったからだ。それでも、いやだからこそ、“パール”は「イエモン的な世界」をも振り切って未知のロックの扉を大きく開け放つダイナミズムと資質を十二分に備えていたし、さらなるバンド新章を祝福する至上の凱歌となるはずだった。

THE YELLOW MONKEYが正式に解散を表明してから2年後、COUNTDOWN JAPAN 06/07。EARTH STAGEのカウントダウンを務めた吉井和哉は、“バラ色の日々”“楽園”とともに“パール”を歌っていた。直前のツアーでのしっとりしたアレンジとは異なり、ほぼ原曲通りの強靭なロックンロールとして響き渡った“パール”。《夜よ負けるなよ朝に負けるなよ/何も答えが出てないぢゃないか》……渾身の絶唱を突き上げた吉井の姿に、抑え難く胸が熱くなった。もちろん、その感激はイエモン不在から来るセンチメントと表裏一体のものではあったのだが、今こうして再び“パール”という楽曲に、「過ぎ去りし伝説」の証としてではなく「この時代のロック」として向き合うことができるのは喜び以外の何物でもない。いよいよ始まるツアーで、この曲を演奏してくれることを心待ちにしている。演奏しなかったら? するまで待ち続ける。(高橋智樹)
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