いよいよ11月18日(金)に待望のデビュー・アルバム『DNCE』をリリースし、12月1日(木)には来日イベントも控える大注目のバンドDNCE。女優の仲里依紗がMVに出演してい“Body Moves”でDNCEのことを知ったという人も多いのではないだろうか。
“Body Moves”のミュージック・ビデオはこちらから。
2000年代にアメリカで一世を風靡したボーイズバンド、ジョナス・ブラザーズ。ケビン、ジョー、ニックのジョナス3兄弟によるこのバンドでメインヴォーカルを担当したのが次男のジョー・ジョナスだ。過去にはテイラー・スウィフトやデミ・ロヴァート、ジジ・ハディッドら名だたる美女たちと交際していたジョーは、その派手な女性関係が常にゴシップのネタにされがちなモテ男。(ちなみにジョーが当時18歳だったテイラーをわずか25秒の電話でフッたのは有名な話。)そしてそれらの恋愛が彼の作る音楽に影響を与えていることは言うまでもないだろう。
DNCEはそのジョーの呼びかけで2015年に結成されたファンク・ポップ・バンドで、ヴォーカルのジョーを始めとするメンバーはそれぞれかなりの実力派揃いだ。モヒカンが印象的なベーシストのコール・ウィットルはグラムロック・バンド、セミ・プレシャス・ウェポンズのメンバー。韓国出身のギタリスト、ジンジュ・リーはジョーダン・スパークスのツアーでリードギターを担当していた。そしてドラマーのジャック・ロウレスはジョナス・ブラザーズのドラムを務めていたことがあり、ジョーとは10年来の友人だという。
DNCEの名前の由来は、酔ったメンバーが“DANCE”を“DNCE”とメールで打ち間違えたことからきており、「完璧じゃないって最高!」という意味が込められている。2015年9月にデビューシングル“Cake By The Ocean”をリリースすると、じわじわと話題になり、今年の夏にはアメリカのラジオで耳にしない日はないほどの爆発的ヒットとなった。ちなみにこの曲は誰かがカクテルの“Sex On The Beach”のことを間違えて“Cake By The Ocean”と言ったのを聞いたジョーが「それ面白いじゃん!」と気に入ったのがきっかけで誕生したのだとか。こんな軽いノリからプラチナディスクが生まれてしまうところがDNCEらしい。
“Cake By The Ocean”のミュージック・ビデオはこちらから。
クレイジーなパーティー・チューンから胸がキュンとするようなラブソングまで、DNCEの曲はどれもリアルでシンプルな歌詞とキャッチーなメロディーが一度聴いたら耳から離れない。そしてライブで盛り上がること必至のちょうどいいユルさで踊れるミッドテンポのナンバー。たとえ英語の歌詞が完璧には理解できなくても言葉よりグルーヴ感で伝わる感じ。結局のところ、DNCEの曲って「歌詞の意味がわからなくたって、楽しかったらそれでオッケー!」というところに行き着いてしまう気がする。
ジョーはジョナス・ブラザーズとして活動中の2011年にいち早くソロ活動をスタートした。しかしすでに名声のある彼でもソロ・アーティストとしてリリースした楽曲は大ヒットには恵まれなかった。その後、ジョナス・ブラザーズは音楽性の違いを理由に解散。3人の兄弟はそれぞれ別の道を歩み始める。
バンドの解散後、弟のニックがソロ・アーティストとしてのキャリアを着実に積みあげていくなかで、ジョーは自身もソロとして続けるべきか、それとも新たにバンドを組むべきか迷ったという。そして彼は後者を選び、その決断は正しかったことを証明したのだ。今はお互いの活躍がいい刺激になっているというジョーとニック。2人ともこの1~2年で音楽性もルックスも格段にレベルアップしたのは言うまでもない。身近に良きライバルがいるというのはやっぱりいいことなのだろう。また幼い頃から父親の影響でたくさんのファンク・ミュージックを聴いて育ったというジョーにとって、ジョナス・ブラザーズ時代のポップ・ロック、ソロでのR&Bを経て、DNCEの音楽に行き着いたのは自然な流れだったのかもしれない。
トップ・アイドルからソロ・アーティストとなり、一度は挫折を経験しながらもそれを見事に乗り越えて真のバンドマンへと成長したジョー・ジョナス。彼がDNCEのフロントマンとしてどんな野望を抱いているのかはわからない。でも今はただ信頼し合える仲間と共に音楽ができる毎日を心から満喫しているように見える。
「カンペキな人生なんてありえない。でもいつだって人生を楽しむことはできるんだ」
そんなコンセプトを掲げたバンドDNCEの歴史はまだ始まったばかり。彼らがこれからどんなモンスター・バンドに成長していくのか楽しみでたまらない!(木船陽子)