ピート・バーンズが亡くなった。
57歳の若さで。

デッド・オア・アライブで、“ユー・スピン・ミー・ラウンド”を歌い踊る、豹のようにワイルドで美しい彼の姿は、80年代に青春を送った人にとっては忘れられない衝撃だったはず。
MTV世代の妖艶な華だった。

90年代ユーロビートの先駆けとして、デッド・オア・アライブが果たした役割は大きいが、ファッションやライフ・スタイルなど、音楽以外の部分でも臆さず個性的を貫き、センセーショナルな存在として注目を集めていた。

まだまだ保守的だった時代のイギリスで、女性と結婚しながら男性の恋人と一緒にすむなど、自らのセクシュアル・アイデンティティに自覚的だった。

一時期は、重なる整形手術やその副作用による闘病が話題となることも多かったが、2000年代にはメディア復帰し、そうした体験を語っている。

今年、カルチャー・クラブの来日公演で、ピートの戦友ともいうべきボーイ・ジョージの見事に復活した姿を観れて感動していたこともあって、早すぎるピートの訃報は本当にショックだ。

自分の望むものを正直に求め続けた、華やかで、波乱万丈な人生――。
ご冥福をお祈りします。（井上貴子）

1985年リリースされ、世界10数か国で１位をとった“ユー・スピン・ミー・ラウンド”

日本でのライヴ映像