11月21日に開催された第49回アメリカン・ミュージック・アワードは、カーディ・Bがホストを務め、オリヴィア・ロドリゴやマネスキンら大型新人の出演も得て、話題に事欠かなかった。
とはいえBTSが主役だったことは言うまでもないだろう。アジア勢初のアーティスト・オブ・ザ・イヤー賞と、フェイバリット・ポップ・デュオ/グループ賞及びポップ・ソング賞の3 冠を達成したのみならず、ライブ・パフォーマンスでも二度登場。自身の大ヒット曲“Butter”のパフォーマンスに先立ってコールドプレイとステージに立ち、彼らが参加した“マイ・ユニバース”を披露した。ご存知、コラボ三昧のコールドプレイの最新アルバム『ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ』から生まれた全米ナンバー・ワン・シングルだ。
音楽界の二大グループが初めて同じステージに結集するとあって大きな注目を集めていた今回のパフォーマンスは、ではどんな内容だったのか? PVともリンクするスピード感あふれる映像を背景に配し、オーディエンスが手首に巻いたザイロバンドとシンクロさせる演出は、まさにコールドプレイのスタジアム・ショウの縮小版。
クリス・マーティンとBTSの7人は一群となってステージを駆け回ってワイワイとマイク・リレーを繰り広げ、最後は思い切りパイロをぶっ放す。少々音声トラブルもあったが、BTSの見え方としては、彼らが通常行なう徹底的に作り込んだショウとは一線を画すユルいノリが非常に新鮮だった。
思えば、BTSとの共演を熱望したクリスはフィジカルなコラボレーションにこだわり、韓国の厳しい隔離措置も厭わず、さる4月に密かにソウルを訪問。彼らと語り合いながら、言語をミックスして、どんな壁でも超えられる愛の力をテーマに“マイ・ユニバース”を完成させた経緯がある。
もちろんまだパンデミックは終わってはいない。でも、全米を制覇した英国と韓国のアーティストがLAで集い、このアンセムを再び互いの目を見ながら歌えたことの喜び、ただそれだけを伝えられればいいのだという両者の想いを確かに受け取った。 (新谷洋子)
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