年末特別企画! ロッキング・オンが選ぶ、2021年の「年間ベスト・アルバム」TOP10を発表! 【第10位】

年末特別企画! ロッキング・オンが選ぶ、2021年の「年間ベスト・アルバム」TOP10を発表! 【第10位】

2021年も、残りあとわずか。

新年へのカウントダウンが盛り上がるこのタイミングで、ロッキング・オンが選んだ2021年の「年間ベスト・アルバム」ランキングの10位〜1位までを、毎日1作品ずつ発表していきます。

年間10位に輝いた作品はこちら!
ご興味のある方は、ぜひ本誌もどうぞ。

【No.10】
『ブルー・ウィークエンド』/ウルフ・アリス


年末特別企画! ロッキング・オンが選ぶ、2021年の「年間ベスト・アルバム」TOP10を発表! 【第10位】

物語はいよいよライブの場に

「ライブ、観たい!」と書いたのは、本誌7月号掲載のアルバム・レビューズでだった。その叫び(笑)が届いたか『ブルー・ウィークエンド』のツアー・デラックス・バージョンには“Smile”や“The Last Man On Earth”など全5曲のライブ・バージョンが付けられている。それがまた良い。

シェイクスピア『マクベス』の冒頭「われわれ3人、どこでまた会おうか/雷、稲妻、それとも雨の中?」を引用した“The Beach”に始まるアルバムは、ファースト『マイ・ラヴ・イズ・クール』(2015年)、そして2017年のセカンド『ヴィジョンズ・オブ・ア・ライフ』以上にグループとしての決意と壮大なスケール感を突きつけるものとなった。シューゲイズやポスト・オルタナのイメージが大きかったグループだが、中心であるボーカルのエリー・ロウゼル自身、そうしたイメージに必要以上に囚われることなく、思い描いてきた美意識や感覚の赴くままに曲を書き、サウンド化していくことで、よりいっそう大きなフィールドに立ち得ると確信したのだろう。
 
だからこそ“Play The Greatest Hits”なんて曲が皮肉でもネガティブな視線でも何でもなく、豊かな心情を反映したものに響くし、盛大にリバーブがかけられた楽曲からも力強いサウンド・デザインと一体化したボーカルが迫ってくる。中盤のチャップリンの書いた名曲と同タイトルの“Smile”では、ヘヴィなファンク・サウンドにライムが絡んだかと思うと、次の“Safe From Heartbreak(If You Never Fall In Love)”では一気にドリーミーな世界へと突入していくのだが、その振幅の大きさそのものがまず快感で嬉しくなる。

さらにパンク色の強い“Play The Greatest Hits”もあれば、デヴィッド・ボウイを始めクラシック・ロックのレジェンドたちの姿が思い浮かぶ“The Last Man On Earth”など、どれもジャンルを横断的に取り入れることを自然に行ってきた世代ならではの柔軟性であり、その上にイマジネーションを広げてきた結果が眩しい。

“The Beach”に始まり“The Beach II”まで、その間に9つの物語を、というイメージで構成されたアルバムは、ストーリー性と多面性、叙情性を併せ持つことに成功している。これらがライブの場でさらに変化していくのを、2022年こそしっかりと確認できるはずだ。(大鷹俊一)



「年間ベスト・アルバム50」特集の記事は現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。


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