バンドアンサンブル。この一言に尽きるライブだった。
メンバーは宮本ではなく楽曲一曲一曲に向き合って音を鳴らしていた。
宮本はその音を振り切ったり壊したり焼き尽くすのではなく、受け入れ、すべてを輝かせるように歌っていた。
僕は長年エレカシの野音は観てきたけど、昨日のようなライブは初めてだった。
そして、これぞまさしく今のエレファントカシマシ、そしてこれからのエレファントカシマシだと思った。
エレファントカシマシという唯一無比の芸術作品を、バンドアンサンブルの視点で捉え直して、一つの調和へと辿り着こうとするまったく新たな試みだったと思う。
セットリストもそれにふさわしい、新しい視点で選ばれた曲たちだったと思う。
石くんがダブルネックのギターやセミアコのギターを使ったり、エフェクターでの味付けを変えていたのも、そんな「視点」の変換を際立たせていた。
35周年を迎えて進化するエレファントカシマシに、僕は本当に感動した。(山崎洋一郎)
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エレファントカシマシの日比谷野音公演を観た感想
2023.10.09 12:06