いよいよ今週末に開催を控えた「サマーソニック2018」。サマソニと言えば毎年絶妙な早耳タイミングでブッキングされるニューカマー勢が話題だが、今年もこの夏出会っておくべき最旬のアクトが勢ぞろいしている。ここではとりわけ必見のニューカマーを曜日毎にピックアップ。今回は東京8月19日(日)編です!
Tom Misch
このトム・ミッシュを「注目新人」扱いで取り上げるのは流石に気が引けるというか、注目も何も彼のデビュー・アルバム『ジオグラフィー』はここ日本でも大ヒット中だし、UKチルの顔役として既にステイタスも確立されている。それでも今年のサマソニの東京2日目の新人を語る上で彼を出発点としたのは、この日がトム・ミッシュを筆頭とするロンドンの音楽シーンの現在、とりわけ最先端と喧伝されているサウス・ロンドンの熱気をビビッドに反映した、新人の見本市と化しているから。ジャズやソウルの新たなグルーヴの実験であり、もちろんヒップホップであり、インディー・ロックでもあり、同時に古典的シンガー・ソングライターの復権でもある彼のサウンドが、まずはその梅雨払いだ。
ここでは互いの作品でコラボし合っている盟友、ロイル・カーナーとの最高にスムージンな“Water Baby”のミュージック・ビデオを。
そしてNPR名物の「Tiny Desk」セッションで、出音とのギャップが最高にシュールなハーフパンツ姿でギターを抱えるトムの勇姿もどうぞ。
Jorja Smith
ジョルジャ・スミスもまたデビュー・アルバム『ロスト・アンド・ファウンド』が高い評価を獲得、サウス・ロンドンの枠を飛び越えて世界的成功にリーチしつつある、今最もホットなディーバのひとり。ちなみに彼女の生まれはウォルソールで、その後拠点をサウス・ロンドンに移して今に至る。彼女のサウンドは他のサウス勢と比較すると、クロスオーバーを前提としつつも最終的には正統派のソウル・ボーカルに立ち返る端正な仕上がりで、ドレイクの『モア・ライフ』でも、彼女のそんなエレガンスを抽出したフィーチャリングが繰り広げられていた。
そしてこちらも「Tiny Desk」の映像を。ローキーなシチュエーションだからこそ露わになったその驚異的なスキルと艶を兼ね備えた歌声に期待を高めて欲しい。
Rex Orange County
このレックス・オレンジ・カウンティにインディー・ロックとして初遭遇した人も多いだろうし、その生粋のいなたさ(彼はハンプシャーの村からロンドンに出てきた人です)をひょいっと飛び越えてタイラー・ザ・クリエイターにフックアップされた"Foreword"で知った人もいるだろう。ガジェット感満載のローファイ・サウンドに、ふとした瞬間驚くほど洗練されたネオ・ソウルやオルタナR&Bが混ぜ込まれていく彼のアンバランスが、まさに「何でもありのサウス・ロンドン」の現在形なのだ。ここでは現時点での彼の代表的アンセム“Sunflower”のミュージック・ビデオを。
Cosmo Pyke
東京日曜は、このコスモ・パイクとセン・モリモトがエントリーしたBillboard JAPAN Stageも見逃せないことになっている。コスモ・パイクは東京土曜のIAMDDB同様にUKヒップホップの多様化の現在を象徴する新星で、ジャズ・ギターやスカ・ビートをミックスした“Chronic Sunshine”や、往年のザ・スタイル・カウンシルを彷彿させるエアリーなギターが眩しい“After School Club”などは、インディー・キッズにもオススメしたい。
ちなみにコスモ・パイクとレックス・オレンジ・カウンティは共に20歳、そして共にロンドンのブリット・スクール出身という経歴もあり、(ブリット・スクールの先輩である)キング・クルール以降の新世代として同根の枝葉の関係性だとも言える。ということで、ふたりが18歳の頃にコラボした音源がこちら。
Ramz
地方からサウス・ロンドンにやってきたジョルジャやROCに対し、ミッチャム生まれのラムズはまさにサウスの地元っ子。各種クリティックから「2018年にブレイクするUKラッパー」としてIAMDDBと共に必ず言及される彼は、グライムにダンスホールやアフロビートといった、サウスで脈々と受け継がれてきたアフリカン・ルーツのサウンドをミックスしていく、所謂アフロスウィングのトレンドを牽引するアーティスト。ここでは彼の目下の特大アンセム“Barking”のミュージック・ビデオを。
(粉川しの)
8/18(土)の新人アーティストを紹介した、「《必見!サマソニ新人①》東京土曜はガールズ・パワー炸裂!ボーイズ・ポップの新星も」は以下。