スウィング・アウト・シスターの来日公演を観た! バンドが今もなおフレッシュでモダンな魅力を提示し続けられる理由

スウィング・アウト・シスターの来日公演を観た! バンドが今もなおフレッシュでモダンな魅力を提示し続けられる理由 - pic by Masanori Narusepic by Masanori Naruse

様々な音楽を自由に旅するようにシネマティックに歌うコリーン・ドリューリー(Vo)の歌声は今回も素晴らしく、変わらぬスウィング・アウト・シスターのスタイリッシュな魅力を存分に伝えてくれる最高のライブだった。約4年ぶりの今回の来日。ビルボードライブ東京、10月12日の2ndステージの公演を観た。まだ大阪での公演が控えているため、具体的な曲名は書かずにおくが、今回のバンドサウンドは、とにかくリズム隊が華やかでモダン。ドラムとベースが文字どおりバンドサウンドの要となっていて、過去曲の演奏にもノスタルジーより、現在進行形バンドとしての、とてもフレッシュでアグレッシブな高揚感を感じられたことが、嬉しい驚きだった。

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柔らかなドレープを描く黒のドレスで登場したコリーンは、トレードマークのショートボブのヘアスタイルも変わらず美しく、その佇まいや優雅な仕草だけで、ステージとフロアの景色を、まるで別世界へと誘ってくれるようだった。ジャズやソウルやラテンを洗練されたポップミュージックとして響かせるその歌声も、年齢とともに衰えるどころか、デビュー当時から変わらぬしなやかさと大人の落ち着きとともに滋味深さを感じさせてくれて、実は今現在こそが、スウィング・アウト・シスターの「旬」なのではないかと思うほど。

バンドメンバーは前回来日時とは少し入れ替わっている。コリーンとアンディ・コーネル(Key)のバックには、ジーナ・フォスター(Background Vo)、ティム・キャンスフィールド(G)、ジョディ・リンスコット(Percussion)が前回に引き続き招集され、ベースとドラムは、デリック・ジョンソン(B)、マイク・ウィルソン(Dr)に入れ替わった。この7人の布陣でモダンなバンドアンサンブルを織り成していく。

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バンドサウンドの変化は、マイクのドラムによるところが大きいように感じた。時に力強いビートで、時にタイトなドラミングで、緩急自在にリズムを牽引し、その一方でパーカッションのジョディは、1つの楽曲の中でも様々に打楽器を使い分け、ウィンドチャイムからエッグシェイカー、さらにはウォーターフォンまで、音響効果的な役割までも担うかのような多忙ぶりでサウンドを彩る。そこに洒脱なカッティングギターや美しいメロディを担う鍵盤の音が重なる瞬間などはまさに至福のバンドサウンドで、思わず体が心地好く揺れてしまう。

思えば、スウィング・アウト・シスターは、デビューアルバム『ベター・トゥ・トラベル』からして、ドラムや打楽器の効果的な使い方で、独特なコスモポリタン感を打ち出してきたバンドだった。今年の夏にリリースされた10年ぶりのアルバム『オールモスト・パスウェイディッド』もまた、“ハッピアー・ザン・サンシャイン”では豊かな音像を打楽器が彩り、美しいバラードの表題曲では静かに寄り添うようなドラムが印象的だったりと、作品の核を担っていたのはリズムやビートだった。

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その新作アルバムは、バンドとして初めて、完成までの過程をすべてオンラインで公開しながら制作していくという新たな試みによって生まれたものだった。結成から30年以上が過ぎた今でも、そうしたチャレンジを選択できる彼女たちだからこそ、どんなに過去のヒット曲を演奏しようとも、それが錆びることはなく、むしろ新たなバンドのモードを見せる楽曲として、今回も驚くほどにモダンでスタイリッシュに響いた。

“ブレイクアウト”のヒットから現在まで、変わらぬ魅力を見せ続けていくために、スウィング・アウト・シスターがその時代や作品によって、実は変化を続けてきたバンドであることを、強く実感したライブでもあった。もし間に合うようであれば、17日、18日のビルボードライブ大阪での公演にぜひ足を運んでみてほしい。現在のバンド、本当に最高なので。(杉浦美恵)

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