マイブラのニュー・アルバムは、なんと2作で来年リリース!? ケヴィン・シールズ発言を契機に考えたこと
2018.10.17 11:59
10月8日に放送されたWOWOWの「SUMMER SONIC 2018」特番の中で、インタビューに応えていたマイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズ。それによると、以前にEPサイズで構想されていた新作(https://rockinon.com/news/detail/173990)は7~8曲収録のアルバムサイズにまでイメージが膨らみ、11月末頃までには制作を終えるとのことだった。また、年明けにもレコーディングを予定しており、2019年内には2作のアルバムをリリースする可能性についてもほのめかしている。
「SONICMANIA 2018」出演時のインタビューということで、その後また予定が変更されている可能性も考えられなくはないが、とにかく今のマイブラが意欲的に音源制作へと向かっている状態なのは間違いないだろう。ソニマニのステージも、極めて高いヴァイタリティを感じさせるものだったし、何か重すぎる神話と化していたマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの呪縛からは解き放たれたような、風通しの良さを感じさせていた。
マイブラがマイブラとしてシーンに帰還したことを作品レベルで証明した2013年の『m b v』のシーズンを経て、マイブラはどのような地平に立とうとしているのか。その手がかりは、やはり新曲にある。SONICMANIAでは、躁状態のザ・ストゥージズのような、あるいは神経質なセックス・ピストルズのような、プリミティヴなパンク・ナンバーが披露されていた。音源化にあたっては、当然のように一味も二味も違うサウンド体験を目指していることだろう。
また、『m b v』の楽曲は慎重に段階的にライブのセットリストに含まれるようになっていったが、2作のアルバムを同時あるいは連続リリースするとなると、今度ばかりはさすがにセットリストが大きく変化することになるはずだ。
復活から既に10年を経て、クリエイティビティの歯車が勢いよく回り始めているマイブラ。その時間感覚に触れるだけでも脳みそがとろけそうになってしまうけれど、慎重さと快調さの中で完全に自分たちのペースを掴んでいるバンドだからこそ、最新フェーズの構築が気になる。ハラハラ、やきもきしながら、それでも期待値の針がプラスに傾いてしまう。それがマイ・ブラッディ・ヴァレンタインなのだ。(小池宏和)