再出発点にして最初の終点

ワン・ダイレクション『メイド・イン・ザ・A.M.(デラックス・エディション)』
発売中
ALBUM
ワン・ダイレクション メイド・イン・ザ・A.M.(デラックス・エディション)
ゼイン脱退後初のアルバムにして、本作をもって暫しの活動休止に入る1Dにとっては、5年間ノンストップで駆け抜けてきたグループの軌跡に最初のピリオドを打つことになる一枚だ。無論、ゼインの不在は本作に大きく影響している。彼らは代替不可能な5人の化学反応によってスペシャルになったグループなのだから当たり前だ。傷ついたし、悩みもしただろう、何事もなかったようには振る舞わない正直さ、リアルさが1Dをお仕着せのアイドルと一線を画す存在にしていたことを、本作を聴くと改めて実感させられる。『フォー』から僅か1年で彼らはさらに大人になり、メンバー脱退という苦い経験を深みに変えている。リアムとナイルのヴォーカリストとしての成長には目を見張るものがあるし、ハリーのさらに磨かれた高音が期せずしてゼインの穴をカヴァーしているのもほろりとくる。そしてルイは何気に最も多くのナンバーで作曲に携わっている。5人の化学反応を失った彼らが4人のそれを再構築している。アルバム本編ラストの“ヒストリー”は、1Dの5年史をまさに締めくくるに相応しいナンバー。でも、寂しいので早く戻って来て欲しい。(粉川しの)
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