“ポケット”“OLA!!”“TOWA”など既発曲のみならず、“いっぱい”“みそら”といった今作収録の楽曲を「まずライヴでファンの皆さんに聴いてほしい」とアリーナツアーでいち早く披露しているゆず。路上時代からライヴの力で観客を魅了し、日本屈指のスケール感を誇るライヴアーティストとなったゆずが今、改めて全身全霊傾けて体現する、音楽とライヴのマジカルな訴求力――楽曲と歌だけでなく、ライヴ空間を満たす壮大な多幸感までトラックに封じ込めるような意欲が、“終わらない歌[Album Version]”のアンセミックなブラスアレンジからも、“た Ri ナ ぃ”のグラマラスなロックアンサンブルからも伝わってくる。そして、北川悠仁&岩沢厚治共作による弾き語り曲をバンドアレンジでひときわ晴れやかに響かせた“二人三脚[Album Session]”から、路上時代から現在までを振り返りながらファンに惜しみない感謝を捧げる“終わりの歌”へと至る今作の終幕の流れは、持てる表現力のすべてを音楽という名のコミュニケーションに捧げて歩み続けるふたりの在り方を、くっきりと浮かび上がらせている。(高橋智樹)