ウィーザーの『ペット・サウンズ』

ウィーザー『ウィーザー(ホワイト・アルバム)』
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ALBUM
ウィーザー ウィーザー(ホワイト・アルバム)
それこそ『ピンカートン』にも通じる、ロックとポップの位相がズレたまま同じ空間で鳴っているようなミステリアスなねじれ感。目映い陽光に抗うようなメンタリティを爆音ギターに託して炸裂させる『ブルー・アルバム』的な焦燥感―。パニック!アット・ザ・ディスコの起死回生作『ある独身男の死』を手掛けた気鋭のプロデューサー=ジェイク・シンクレアを迎え制作された、『ブルー・アルバム』、『グリーン・アルバム』、『レッド・アルバム』に続くウィーザー自身4枚目(!)のセルフ・タイトル作品:別称『ホワイト・アルバム』。グロッケンの軽やかな響きに続いて、青空と水着が似合いそうなハード・ドライヴィンなギター・サウンドと極彩色コーラスが吹き荒れる“カリフォルニア・キッズ”に「君の瞼に蜘蛛の巣」、「死後硬直で動かない」と不穏なイメージを重ねるリヴァース・クオモのソングライティングは、ポップど真ん中を体現していたはずのビーチ・ボーイズがポップに苛まれながら作り上げた『ペット・サウンズ』すら彷彿とさせるものだ。ウィーザーが病みの産物ではなく表現の核心として撃ち放ってきた「晴れやかな憂鬱」が、ウィーザーの熱狂的ファンでもあるジェイクの手によって浮き彫りになった結果、彼らのポップ感が儚く危ういバランスを保ったまま、どこまでも痛快な突き抜け感とともに鳴り渡っている快盤。センチメンタル・グランジとでも呼ぶべき”ドゥ・ユー・ワナ・ゲット・ハイ?”も、パワー・ポップ・バラード”キング・オブ・ザ・ワールド”も最高。(高橋智樹)
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