絶句するしかないカムバックのしかた

宇多田ヒカル『花束を君に』/『真夏の通り雨』
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宇多田ヒカル 花束を君に』/『真夏の通り雨
『とと姉ちゃん』と『NEWS ZERO』で短縮バージョンは何度も聴いていたのに、フルで聴き終えた瞬間、「何を書けというんだ」と、すべて放棄したくなってしまった。2曲とも生楽器。“花束を君に”はエリック・クラプトンのバックを務めるドラマーやサム・スミスを手掛けるエンジニア等の海外勢、“真夏の通り雨”はエンジニアは同じだが、鍵盤は以前から宇多田の音源に関わる河野圭、リズム隊は玉田豊夢&山口寛雄の100s出身コンビ。2曲ともテーマは「永遠の別れ」なので、母親に向けた歌だと思えるが、ただしそれ以前の人間活動中に出た“桜流し”も同じようなテーマだったし、サウンドも同じ方向性だった。――どうでしょう。聴いてクレジットを見ればわかることでしょ、そんなの全部。この2曲の、聴くと感情がウワアーッとなる感じ、取り乱してしまう感じ、でもパニック状態で聴き終わるんじゃなくて静謐で澄んだものが残る感じを説明できる言葉、私は持っていません。えーと、各自聴いて、いろんなことを考えたり感じたりすればいいと思います。あと、どちらの曲も後半が特にすさまじい。(兵庫慎司)
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