三人称と過去形の魔術師

yonige『リボルバー』
発売中
SINGLE
yonige リボルバー
yonigeの曲を聴くといつも不思議だなあと思う。なんでこんなにシンプルなコードとメロディで成立するんだろうと。簡単に言ってしまえば、牛丸ありさ(Vo・G)の才能がとんでもなくズバ抜けてるってことなのだけど、彼女の歌はどこか客観的な感じがする。これが私の気持ちなの、とにかく聴けよこのヤロウみたいな(笑)、押し付けがましい叫びではない。今回のフェス会場限定シングル“リボルバー”でも、《自分》という一人称や、《君》という二人称には、《ふたり》という三人称の膜がかかっている。そして《日々は染まっていった》、あるいは《後悔するのでした》のように現在進行形の物語ではなく、過去形のフィルターでセピア色となった出来事が綴られている。楽しいとか悲しいって言わないことでしか浮かび上がらせることのできない感情を表現すること。そこが牛丸のすごさだし、それを最大限純粋に届けるため、コードとメロディに余計な脚色をせず、あくまで器として機能させているところがもっとすごい。だから本当の意味でみんなの歌となってしまう。それがyonigeの曲なのだ。(秋摩竜太郎)
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