破壊という名の創造

ぼくのりりっくのぼうよみ『没落』
2018年12月12日発売
ALBUM
ぼくのりりっくのぼうよみ 没落
若くして世界に見つかってしまった彼が出した答えとは――。このラスト・オリジナルアルバムには、ぼくのりりっくのぼうよみが「辞職」(=活動終了)を選んだ理由がぶつけられている。創作物が作り手の思想や哲学、言うなれば「過去」に基づくのだとしたら、自分にさえ見たことのないものを生み出すためには、一旦、壊すしかない。《褪せた初期衝動》に気づき、早いうちに脱ぎ捨てる。純潔さを保ったまま終わらせず、破壊行為すらショウにする。そうして最後まで音楽に身を捧ぐ。これらの決断はたやすくできることではないだろう。全11曲、濃度が異様に高いのはそのためだ。ここにはもはや「知的で冷静で俯瞰的な少年」などいない。角度は違えど全曲同様のことを歌っているという偏り具合。歌詞には俗っぽい言葉もあえて使用。剥き出しのボーカルは、内臓から抉り取ったかのようにドロドロとしている。整った姿形をしているわけではない本作に、しかし私は魅せられてしまう。自死衝動による表現の命は短いとわかっていながら、もっと見てみたいと思ってしまう。残酷ゆえに美しい終幕劇である。(蜂須賀ちなみ)
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