テレビの前で我が子と待ち構えていた6月1日。聴こえてきたのは、すべてを抱きしめるような旋律と、柔らかな歌声。奇しくも、その日から学校がはじまったという人も多かった日。例年とは違ったはじまりの季節を迎えた子どもたちの前に、文字通り大きな“世界の地図”を広げてくれるような楽曲だった。
《南の島は とても暑く/北国の風は 寒すぎて/東は人で あふれかえって/西に向かってた 船が沈む》ような時代を生きる子どもたち、そして子どもだった大人たちが、それぞれの幸せを手に入れることを願い、そこにたどり着く力をくれる。正直、5歳の我が子には少し難しい世界観かもしれないが、これまでの数多くの『みんなのうた』や子どもの頃に聴いた歌のように、耳の奥に残り続けて、欲した時にふと流れる、そんな強さを持った楽曲だと思う。(高橋美穂)