ソロアーティストとして破竹の勢いで成長するアイナ・ジ・エンドの新曲であり、楽曲提供者としても圧倒的な存在感を示すTK(凛として時雨)のプロデュース曲であり、映画『劇場版モノノ怪 唐傘』の主題歌であり、情報だけでもうお腹いっぱい!という豪奢な新曲“Love Sick”だが、アイナの「歌」がやっぱりすごい。「すごい」という言葉も本来の意味に近く、もはや「ぞっとするほど恐ろしい」とさえ思わされるような歌だ。TKらしいダイナミックなサウンドスケープを見せるサビ、TikTokでバズりそうなキャッチーなサビ終わりのパート(ダンスもキュートで最高!)、泣きの落ちサビ――という大トロ尽くしの曲を、声がちゃんと「食っている」。語尾の処理/ダイナミクス/地声とファルセットの使い分け、あらゆるテクニックがふんだんに使われているのに、歌に冷めた自意識が一切なくて、深海のように底知れぬ「感情」がひたひたと染み込んでいる。またしてもアイナ・ジ・エンドにしか歌えない「歌」がこの世に生まれてしまった。(畑雄介)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年9月号より抜粋)
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TKが築いた牙城に君臨する魔王のような「歌」
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