パーティーの奥に潜む闇

グリーン・デイ『ドス!』
2012年11月14日発売
ALBUM
グリーン・デイ ドス!
マジに誰も予想していなかったビリー・ジョーの緊急リハビリ入院で、3部作の2枚目『ドス!』は当初のバンド側の思惑とは全く違ったニュアンスで聴くことのできる衝撃作になってしまった。アコギの弾き語りでビリー・ジョーが爽やかに歌う1分のオープニング・ナンバー〝シー・ユー・トゥナイト〟から、急転直下で邪悪なロックンロールが鳴り響く〝ファック・タイム〟に突入すると、まるでジェットコースター・ライドのような展開が次々に待ち受ける。急遽シングルとして『トレ!』から移されたポップなガレージ・ロックのラヴソング〝ストレイ・ハート〟、謎の女性ラッパーのレディー・コブラをフックアップした〝ナイトライフ〟、そして故エイミー・ワインハウスに捧げたバラード〝エイミー〟などなどハイライトに当たる部分も多い。要はかつてないヴァラエティ感を実現したアルバムなのだ。このグリーン・デイ史上もっとも猥雑なパーティー・アルバムは、彼らの一番「ヤバい」部分を、あくまでヴァーチャルな意味で象徴するはずだった。しかしトリロジー全体の健全なポップさとは裏腹に、ビリー・ジョーがドラッグ(酒?)でダウンしたということは、現実はそう簡単ではないということである。『ウノ!』『ドス!』『トレ!』はキャリア25年を迎えた彼らがグリーン・デイを再定義する試みだと思ったが、それは結果的にもっと深いレベルで、その重大な局面を迎えている。もちろん彼らが3人で揃う復活の日は近いと俺は信じている。そしてそれまではビリー・ジョーの「エイミー、ドント・ユー・ゴー」の悲痛な叫びが、とにかく胸に突き刺さる。(松村耕太朗)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする