メンバー変更でギア・チェンジを余儀なくされたものの、ロック/ブルース/スペース・サイケと音楽的な振れ幅を遺憾なく刻んだ前作『ビート〜』(2010年)でみごとクリエイティヴな再生を果たした彼ら。しかし同じ年にサウンド・マンとしてバンドを支えてきたロバートの父が急逝するという悲劇は、本作に至る道のりに大きな影を落としたようだ。
その影は本作のタイトル(戯曲『マクベス』からの引用で、過去を呼び起こす亡霊を指す)やロバートの父マイケル・ビーンの在籍したザ・コールのカヴァー2にはっきり見て取れる。しかし何より大きな影響はソウル・サーチングの果てに3人が新たな目的意識を獲得した点だと思う。冒頭の英国的な広がり&アンセミックな美メロで引き込み、中盤以降はQOTSAばりにセクシーなロックンロール(デイヴ・グロール監督で話題の映画『サウンド・シティー〜』サントラ収録のコラボ曲もぜひチェックください)がうねりサイケデリックな瞑想が浮遊し……と、ソリッドなアルバムのペース配分は過去の作品群以上のトータル性を本作にもたらしている。15年間にわたる孤高の進軍が大きな実を結んだ1枚。 (坂本麻里子)
機は熟した
ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ『スペクター・アット・ザ・フィースト』
2013年03月20日発売
2013年03月20日発売
UICO-1255