曲を出すごとに『いつもと違う』とか言われるんだけど、私の中では全然路線を変えてるつもりはないんですよ。毎回違う感じが私はいいと思ってます
──で、今回の“I’m a Pop”の歌詞は、これ以上ないくらいのものをぶつけてるじゃないですか。ふだんちゃんみなさんが感じてる苛立ちが凝縮されてるものだと思います。改めてお聞きしますが、この怒りの元凶というか、思うことの背景にあるものはどんなことなんでしょうか。
「ふふふ、さっきからみんな(この日、ちゃんみなは取材日だった)私に悪口言わせようとしてるのかな(笑)。それ、みんな訊くから」
──それだけこの曲に強力なエネルギーを感じてるんですよ(笑)。
「そうですよね。こんな曲出すくらいですもんね。そうですね。私はずっと、音楽っていろんなものを音楽っていうと思ってたんです。もちろん今もそうですけど。だから『ヒップホップでデビューした人はヒップホップしかやっちゃいけない』とか、『ロックでデビューした人はロックしかやっちゃいけない』とか、そういうものとはまったく思ってなくて。もちろん、音楽はそういうものじゃないんですけどね。でも私が世間に出るようになってから、そういうことをよく言われるようになって。『え?』って思ったんですよ。“LADY”出したときなんか、『ラップやめたんですか?』って言われて、なんでそうなるの?と思ったくらい。でも、全部の曲でラップしててもつまんなくない?って思うんですよね。せっかく私は歌も歌えるんだし、歌ったほうがいいじゃんって。私の中でそういう疑問が生まれて。それがたぶん17歳とか18歳の時で、そこからもう曲を出せば出すほど、そういうことを言われるようになって。『ちゃんみなのジャンルは何だ?』みたいなことを毎回言われて。曲を出すごとに『いつもと違う』とか、『路線変更?』とか、『キャラ変?』みたいなことを言われるんだけど、私の中では全然路線を変えてるつもりはないんですよ。毎回違う感じが私はいいと思ってますし、楽しいですし、そこにまず疑問が生まれました。『その討論いるの?』みたいな」
──なるほど。ひとつのジャンルに当てはめて捉えられることに違和感を感じたと。
「私だけじゃなくて、他の人に対しても同じような意見があるのを目にして、『え? 別にその人の勝手にやらせてればよくない?』って思って。お前らが縛んなよって思う。今すごく不自由になってるじゃないですか、世間が。言いたいだけなんでしょうけど、ちょっとしたことにクレームを言う人がいて、雑誌とかでも好きなことが書けないとか、すごく気をつけないといけないとか。私はこの前“PAIN IS BEAUTY”のMVを公開したときに、『(バイクに乗るシーンで)なんでヘルメットかぶってないんですか』って(笑)」
──ああ……。
「『それ子供が真似したらどうするんですか?』っていうご意見もいただいて(笑)。もうそういうことが多すぎるんですよ。自由な場所がどんどん奪われていっちゃってる。そのトピックは“Doctor”でも言ってるんですけど、そういうのが多すぎるんです。評論家気取りみたいな人が多すぎて、『この文化はこうだからこうすべきだ』とか、『この音は何を考えてるんだ』とか、そういうのを見て、ほんとに残念だなって思って、すっごくイライラしました。なんでこんなことになってるんだって」
──その怒りが“I’m a Pop”を生んだんですね。
「そこから、さらにこれを書くきっかけになったのは、やっぱり韓国と日本って、仲良さそうで悪かったり、仲悪そうで良かったりで、私もけっこういろんなことを言われてきたんですよね。だから韓国語も入れようと思いましたし。 “Doctor”を出したときは後ろにオネエダンサーをつけてやったんですけど、そこで言われたのは、『ヒップホップはゲイのものじゃない』って。それにはすっごく腹が立って、誰のものとかじゃないし、音楽はそもそもそういうものじゃないのに、なんて息苦しい世界なんだって思って。“I’m a Pop”が生まれた背景はそんな感じです。はい。悪口は以上です(笑)」
(“Doctor”は、)歌詞もしっかり聴いてほしいなって思っていたので、英語バージョンをいいタイミングで出したくて、ここでリリースするのもいいかなって
──おっしゃることはほんとにそのとおりだと思います。もともとちゃんみなさん自身がヒップホップをやっていくんだっていうふうに音楽を始めたわけでもないですしね。音楽の中のひとつの表現方法としてヒップホップがあるというだけだし、時代の流れもあってラップと出会って、ということですしね。
「ほんとに。そこは正直、何も言われる筋合いはないですし、もう言われても無視でいいやって。これからも変わらずやっていきたいと思いますけどね」
──今回のシングルにはカップリングで“Doctor(English Version)”も収録されていますよね。日本語バージョンも強力でしたけど、今回英詞のバージョンを新たに録音しようと思ったのはどういう経緯ですか?
「もともと英語バージョンも作っていたんですけど、ずっと出すタイミングをうかがっていたというか。“Doctor”を出した後、少し時間差があって海外の人たちから注目されて、少女時代のヒョヨンちゃんとかがインスタに上げてくれたり、海外のダンサーチームの方たちが楽曲を使ってくれたりもして、“Doctor”のMVのYouTubeのコメント欄が英語だらけになったりしてたんですよ。急にそういうことがあって、私にとってこの曲は、歌詞もしっかり聴いてほしいなって思っていたので、英語バージョンをいいタイミングで出したくて、ここでリリースするのもいいかなって」
──改めて全編英語のバージョンで聴くと、洋楽とか邦楽とかのジャンルも関係なく聴けるし、ちゃんみなさんが“I’m a Pop”で表現したかったことや目指していることが、この楽曲でも表現されてる気がしますね。
「ふふふ。なんだか恥ずかしい」
──あと今回のジャケット写真含め、ビジュアルイメージも楽曲の強さにマッチしていていいですね。セクシーなヒョウ柄のファッションで。
「ヒョウ柄っていうアイデアは、私のジャケをいつも担当してくれてる方からのアイデアで、『ヒョウ柄のちゃんみなが見たい』って言ってくださって。私もそういえば、今までヒョウ柄はやってそうでやってなかったなって思って、その『今までやっていそうで実はやっていない』っていうことが、今回のテーマでもあるのかなと思ったので気に入っています。ちなみにこれ(今回のアー写)、奇跡の一枚なんです(笑)。満場一致で『これ使おう』って(笑)」