ONE OK ROCK@幕張メッセ

ONE OK ROCK@幕張メッセ - pic by 上飯坂 一pic by 上飯坂 一
「やっほー、幕張メッセ! 後ろのほう、思ったより遠くてびっくりしてるでしょ? でも、この距離も関係ないぐらい全力で、後ろの壁のところにいる人まで、精いっぱい気持ちを届けて帰りたいと思います!」と意気揚々と呼びかけるTaka(Vo)の言葉に、巨大なホールを埋め尽くしたオーディエンスから熱い歓声が湧き起こる――5月から7月にかけて計11都市・22公演にわたって行われたONE OK ROCKの全国アリーナツアー「ONE OK ROCK 2015 "35xxxv" JAPAN TOUR」の追加公演として、9月12日・13日に開催された幕張メッセ2DAYS公演の2日目。バンドにとっての極限進化作となった名盤アルバム『35xxxv』を携えて計26万人を動員した全国ツアーの、文字通りグランドフィナーレとなったこの日。開演の瞬間を今や遅しと待ち侘びた観客の期待感の渦と、4人の激奏&激唱が真っ向から響き合って、熾烈なロックの地平を描き出した、圧巻のステージだった。

各地でサポートゲストを迎えて行われた「ONE OK ROCK 2015 "35xxxv" JAPAN TOUR」。追加公演となるこの日のゲストアクトは、前日に引き続いての登場となるフロリダのポストハードコア精鋭=Sleeping with Sirensと、アトランタ発ニューメタル/スクリーモ6人組=Issuesという洋楽アクト2組。クリーンヴォイスのタイラー&スクリーム担当のマイケルの2人をフロントに据えた2MC+1DJ+G+B+Drラインナップからゴリゴリのラップメタル/エレクトロ・ミクスチャー系サウンドを繰り出したかと思えば、曲の合間にスカイラー(B)の誕生日を祝って「カンパイ!」と朗らかに酒のカップを合わせてみせたIssues。“We Like It Loud”“If You Can't Hang”のようなソリッド&アグレッシヴなナンバーから、アコギをフィーチャーした“The Strays”のようなポップエモ風の楽曲まで、ケリン(Vo)のハイトーンヴォイスとともに高らかに響かせてみせたSleeping with Sirens……まったくベクトルの異なる2組のサウンドが、会場のテンションを刻一刻と高めていく。そして――。

17:38、いよいよONE OK ROCKのアクトがスタート! 暗転したステージに、ロックの聖歌の如き“Fight the night”を歌い上げるTakaの声が響き、白く光るヴィジョンの前に彼のシルエットが浮かび上がると、満場のフロアから割れんばかりの大歓声が巻き起こり、Toru(G)、Ryota(B)、Tomoya(Dr)のシルエットが映し出され、喜びの声が刻一刻と高まる。そこから「いくぞ幕張メッセ!」というTakaのシャウトとともに“The Beginning”へ流れ込み、“Memories”で湧き上がったシンガロングをTakaが「聞こえねえぞ!」と煽ると、メッセは一気に熱気あふれる狂騒空間へと導かれていく。

本編17曲のうち、“Deeper Deeper”など前作『人生×僕=』からの4曲と“Liar”“完全感覚Dreamer”以外はすべて最新アルバム『35xxxv』からの選曲――というセットリストが、世界標準のロックを結晶させた最新作に懸ける彼らの覚悟と自信を雄弁に物語っているが、この日のステージで何より際立っていたのは、魂を全開放して歌い上げるTakaのヴォーカルの全身震撼レベルの迫力と、メッセの広大な空間すらあっさり凌駕するほどのToru/Ryota/Tomoyaの演奏のスケール感だ。「どんな楽曲/アレンジを演奏しているか」という点以上に、「それをどれだけ強靭なパフォーマンスで鳴らすことができるか」という点において、彼らは紛れもなく、世界を揺さぶり世界を撃ち抜くロックそのものだった。

純白のレーザー光線が空間を埋め尽くす中、ピットに広大なサークルを描き出してみせた“Cry out”。Takaがアコギ弾き語りで聴かせる歌がオーディエンスの熱唱を呼び起こした“Heartache”。「僕の友達を紹介していいですか?」というTakaのコールとともにSleeping with Sirensを迎え入れて披露した“Paper Planes”の多幸感……1曲また1曲と温度を高めていくメッセに向けて終盤に放たれたのは、アメリカで発売される『35xxxv』の英語詞版アルバム『35xxxv Deluxe Edition』に収録される2つの新曲のうちの1曲、その日本語詞ver.である“The Way Back -Japanese Ver.-”。レゲエ/ダブ色の濃いAメロからハードエッジなロックの世界へ飛び出していくスリリングな楽曲が、会場をさらなる歓喜へと誘っていく。火の玉の特効以上に目映い歌とサウンドが噴き上がった“Take me to the top”から、“Suddenly”を経て“完全感覚Dreamer”“Mighty Long Fall”連射でメッセ激震! 凄絶な熱量とともに本編を締め括ってみせた。

ONE OK ROCK@幕張メッセ - pic by RUI HASHIMOTO(Sound Shooter)pic by RUI HASHIMOTO(Sound Shooter)
アンコールでは会場後方から登場したTakaがスタンディングエリアの通路を駆け抜けながら“アンサイズニア”絶唱!というサプライズの後、「このステージの上に立って、歌を歌ってると……ああ、俺らは生きてんだなって。生きてる人間に向かって、こうやって歌を歌ってるんだなって」と熱気に満ちた会場を見渡してTakaがしみじみと語る。「こんなこと、普通に生きてたら絶対に味わえないから。これからも、この瞬間をずっと味わえるように、一生懸命頑張ります! 今日は本当にありがとう!」。会場一面から湧き起こった拍手喝采が、「またすぐアルバム作ってツアーやります。愛してるよ!」という言葉でさらに熱を帯びていく。

オフマイクのTakaの声に導かれて轟々とシンガロングが鳴り渡ったイントロから、Issues・タイラーを舞台に呼び込んで演奏したこの日のラストナンバーはもちろん、『35xxxv Deluxe Edition』で彼をフィーチャーしている楽曲“Decision”(タイラーが日本語詞で歌うという粋な展開も)。最後、全員でビシッとキメるはずがタイミングが合わずにやり直して、「10年間バンドやってて、最後こんなに締まらなかったの初めてだよ!(笑)」とTakaが苦笑した場面までもが決定的瞬間として心に刻まれるほど、そのすべてが強烈なヴァイブに満ちていた。ステージを去る直前、「No.1のバンドのファンは、絶対No.1です! ありがとうございます!」とTakaは感謝の想いを露にしていた。9月29日からの北米ツアー、さらに12月には欧州、来年1月にはアジアをサーキットするONE OK ROCK。ひたむきに己とロックを研ぎ澄ませ鍛え続けるバンドだからこそ生み出せる至福の風景が、この日の幕張メッセには確かに広がっていた。(高橋智樹)

●セットリスト

01.Fight the night
02.The Beginning
03.Memories
04.Deeper Deeper
05.Stuck in the middle
06.Clock Strikes
07.Smiling down
08.Liar
09.Cry out
10.Heartache
11.Paper Planes(featuring Kellin from Sleeping with Sirens)
12.The Way Back -Japanese Ver.-
13.3xxxv5
14.Take me to the top
15.Suddenly
16.完全感覚Dreamer
17.Mighty Long Fall
(encore)
18.アンサイズニア
19.Decision(featuring Tyler Carter from Issues)
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