乃木坂46/東京ドーム

乃木坂46/東京ドーム


●セットリスト
1. 制服のマネキン
2. 世界で一番 孤独なLover
3. 夏のFree&Easy
4. 裸足でSummer
5. 太陽ノック
6. ぐるぐるカーテン
7. バレッタ
8. 三番目の風
9. 思い出ファースト
10. 他の星から
11. でこぴん
12. あらかじめ語られるロマンス
13. ダンケシェーン
14. ハウス!
15. ここにいる理由
16. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
17. 君は僕と会わない方がよかったのかな
18. 生まれたままで
19. アンダー
20. My rule
21. 命は美しい
22. 逃げ水
23. インフルエンサー
24. 君の名は希望
25. 何度目の青空か?
26. いつかできるから今日できる

(アンコール)
EN1. おいでシャンプー
EN2. ロマンスのスタート
EN3. ガールズルール
EN4. 設定温度
EN5. 乃木坂の詩

(ダブルアンコール)
DEN1. きっかけ


7月初めにスタートした乃木坂46「真夏の全国ツアー2017」。今年は明治神宮球場を皮切りに宮城、大阪、愛知、新潟でそれぞれ開催された。そんな地方公演も含め、約4ヶ月をかけて回ったツアーはグループ史上最大規模の会場、ここ東京ドームで締め括られた。

開演時間から少し経ち、客電もまだ落ちていない状態でどこからともなく聞こえてきたハンドクラップ。それはアリーナにいた警備員たちが打ち鳴らし初めたもので、観客を煽りながらステージへ上がり始める。フラッシュモブ的なギミックで女子高生や会場スタッフの姿をしたダンサーも登場しステージを埋め尽くすと、ノンストップで“OVERTURE”へと突入し、ライブは幕を開けた。
乃木坂46/東京ドーム
記念すべき日に選ばれた1曲目は、デビューからアイドルの王道を突き進んできた彼女たちの最初の転機ともなったシングル曲“制服のマネキン”だ。センターの生駒里奈を中心に大勢のダンサーと共に披露されたバッキバキのダンスチューンは一瞬にして5万人を支配した。序盤は西野七瀬が「東京ドーム、最高の時間にするぞー!」と叫び、ハイテンションで駆け抜けた“夏のFree&Easy”を始め、“裸足でSummer”、“太陽ノック”といった夏ソングを立て続けに披露。立体的に上下するセンターステージや電飾で輝いたフロートなども使い、大きな会場をフル活用して観客を盛り上げる。
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キャプテンの桜井玲香を中心に、今日に至るまでの意気込みや決意を述べたMCを挟んだ後は、彼女たちのデビュー曲にしてグループの原点である“ぐるぐるカーテン”、そして演劇的な昭和歌謡を彷彿とさせるミドルナンバー“バレッタ”へと続く。華やかさとしなやかさが交差する初期の楽曲たちは、リリース当時とは違う、表情や動きで楽曲の世界を見せることを学んだ少女たちの確かな成長が見受けられた。そのままバトンは3期生に託され、“三番目の風”、“思い出ファースト”を全力でパフォーマンス。大きな会場で一番小さい存在である12人は「これからを担う乃木坂46の顔」として、全く臆することなく堂々としたステージを見せた。

息つく暇もなくライブは、各メンバーがフィーチャーされるユニット曲のセクションへ。“他の星から”、“でこぴん”、“あらかじめ語られるロマンス”とさまざまな角度から、時にクールに、時にアイドル全開のしぐさを見せながら観客を魅了する。卒業などを理由に楽曲によっては二度とオリジナルメンバーが揃わないことがアイドルのジレンマとしてあるが、このユニットのセクションでは、誰かが「いなくなった」ことを意識させず、むしろ「そこにいるメンバー」の存在感が強調されていた。
乃木坂46/東京ドーム
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アンダーメンバーのセクションでは、齋藤飛鳥、衛藤美彩など過去にアンダーを経験し、今や乃木坂を代表する顔となった面々が各楽曲に参加。すでに卒業を発表している伊藤万理華を中心に据えた“ここにいる理由”では新たに纏った衣装をはためかせ、曲のタイトル通りに、各々がアイドルとして東京ドームに立っている理由を体現してみせた。そんな大きなグループだからこそ生まれる葛藤や悩みを引き連れ、ロック歌謡にて自身に課したルールを歌うアンダー最新曲“My rule”が終わるその瞬間まで、アンダーメンバーは「ライブ」という表現に最後まで執着していた。
乃木坂46/東京ドーム
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会場が暗転すると西野がゆっくりと登場し、液晶ビジョンの床で作られた後方のステージにて映像とリンクしたダンスを披露する。幻想的なグラフィックは徐々に他のメンバーを誘い、皆が揃うとドラスティックなダンスナンバー“命は美しい”へ。先程のアンダーのセクションに触発されたのか、無数のレーザーがステージを囲むなか、メンバーの表情がはっきり見えずとも、その一糸乱れぬ動きとちらつく彼女たちの殺気立った眼光にただただ圧倒される。その勢いは3期生の大園桃子と与田祐希がダブルセンターを務めた“逃げ水”をクッションに挟みながらも、火柱が吹き上がる“インフルエンサー”で再び全員のキレのあるパフォーマンスまで途切れることはなかった。この温度感の波も乃木坂らしいライブの展開だ。

生田絵梨花によるピアノ伴奏のみで演奏された“君の名は希望”も、この日のハイライトの一つだった。生田が打鍵するたびに広がる音とメンバーのハーモニーが重なったこの曲では、5万人が声を発することなく、ひたすら聞き入っている光景が広がっていた。それは6年間でメンバーとファンが築いてきた関係性を物語るような、目に見えることのない信頼を感じ取ることができた。
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続くMCでは、生駒を筆頭にメンバーがファンに向けて今の思いと感謝を告げる。その中でも特に生田が「ここに立てたのは、今まで卒業していったメンバーの力もあると思う。ずっとここまで応援してくれた人、いろんな事情で離れていった人、これから好きになってくれる人もいるかもしれない。そういうバトンをこれからも繋いで、ここからもずっと坂を上り続けていけるグループであれたら」と、紆余曲折を繰り返しながらも、グループの未来を見据えたコメントを口にしていた。「バトン」という例えが言い得て妙だと思ったが、確かに人とは、誰かに何かを渡した時に、自分がそれを渡した者としてその存在を確かめることができる。彼女はその言葉で先程の“君の名は希望”を乃木坂46に当てはめてみせたのだった。

そして本編ラストは最新シングル表題曲“いつかできるから今日できる”を力強く、ここまでの歩みを確かめるように歌い踊る。そして巨大なステージセットの頂へ登っていく彼女たちは、その頂点で横一列に並び5万人に向けて深く頭を下げ、感謝の言葉と共にステージを下りていった。
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アンコールでは“ロマンスのスタート”や“ガールズルール”といった乃木坂46を彩ってきた楽曲を惜しみなく投入。1期生から3期生までが歌唱参加している“設定温度”が終わる頃には、大きな蕾が描かれた垂れ幕が彼女たちの後ろにそびえていた。その蕾はアンコールの最後に歌われた“乃木坂の詩”の途中で花開き、6年前から成長を遂げた「今現在の乃木坂46」そのものを表しているようだった。曲が終わり、観客に向けて深々と礼をする彼女たちが顔を上げると、そこには会場のファンたちによるサプライズで、ペンライトの光で描かれた「乃木坂46 アリガトウ」の文字が。感激のあまり涙するメンバーは、今日という日が特別な日になったことを泣きながら噛み締め、「アイドル」であることの良さを改めて実感していた。
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特別に行われたダブルアンコールの“きっかけ”では、グループからの卒業を発表している伊藤万理華と中元日芽香を中心に、ふたりとの思い出を刻もうと代わるがわるスキンシップをとるメンバーの姿がとても愛らしかった。グループ結成から6年間、出会い以上に別れを経験し、数少ない出会いから「かけがえのないもの」を得た乃木坂46。卒業する者。残る者。形は違えど、全員がこれから上る坂道は彼女たち自身が決心して選んだ道だ。《決心は自分から/思ったそのまま…/生きよう》――“きっかけ”の最後のフレーズを歌い終えたメンバーは、東京ドームに数え切れないほどの笑顔と涙を残して次の坂道へ走り出していった。
乃木坂46/東京ドーム
速報でも述べたが、CDの売上枚数やライブ会場の規模は乃木坂46の魅力を語る上で重要なことではない。もちろん、活動の結果としてそれらが付いてくることは大切だ。今後も数字や規模は間違いなく大きくなるだろうが、それでも、昨日と今日、ここ東京ドームに10万人を集めながらいつもと変わらないパフォーマンスを見せた姿を見て、変わることのない「乃木坂らしさ」がメンバーにあることを確信した。乃木坂46にとっての本当の坂道は、今日ここからまた始まったのだ。(小田淳治)

終演後ブログ
【速報】乃木坂46の東京ドーム公演、笑顔と涙の蕾が開いた6年分の「ありがとう」をこの目で観た
「ありがとう」――メンバー全員から、そして彼女たちの勇姿をその目に焼き付けようと全国から駆けつけた5万人のファンから、その5文字が何度も聞こえた。 乃木坂46が7月から敢行した「真夏の全国ツアー2017」のファイナル公演は、ここ東京ドームにて幕を下ろした。グループにとって初の東京ドーム…
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