ポルカドットスティングレイ/Zepp Tokyo

ポルカドットスティングレイ/Zepp Tokyo - All photo by AZUSA TAKADAAll photo by AZUSA TAKADA

●セットリスト
1.夜明けのオレンジ
2.テレキャスター・ストライプ
3.DENKOUSEKKA
4.シンクロニシカ
5.ミドリ
6.ばけものだらけの街
7.サレンダー
8.オトシマエ
9.レム
10.ポケセン&ポケモンメドレー
11.半泣き黒猫団のテーマ
12.エレクトリック・パブリック
13.ラブコール
(アンコール)
EN1.おはよう(塩多め)
EN2.女神
EN3.本日未明


ポルカドットスティングレイ/Zepp Tokyo
ポルカドットスティングレイ/Zepp Tokyo

2016年は新宿red cloth、2017年は代官山UNIT、2018年は新木場STUDIO COASTで開催された雫(Vo・G)のバースデーライブ「教祖爆誕」。27歳を迎える2019年10月15日は最大キャパのZepp Tokyoで開催された。加えて、チケットを所持できたのはほとんどがファンクラブアプリ「半泣き黒猫団」のプレミアム団員。実質ファンクラブライブと言っても過言ではない環境だ。ポルカを熱心に愛してやまない人々で溢れた会場に、メンバーもいつもより自然体の表情を滲ませていた。

メンバーがステージに現れ、ピンスポットが当たった雫が「27歳になりました!」と言うと、場内に溢れる祝福の歓声とともに“夜明けのオレンジ”でこの日の幕を開ける。4人がストライプの衣装に身を包みつつも、揃いではないという絶妙な外し方もポルカらしい。“テレキャスター・ストライプ”では雫の「跳べ!」でフロアが一斉にコールとともにジャンプ。サビの《嗚呼、テレキャスター・ストライプ》では大きなシンガロングが起こった。エジマハルシ(G)、ウエムラユウキ(B)、ミツヤスカズマ(Dr)の見せ場や、雫の一挙手一投足、表情の変化が見えるたびに大きなリアクションを示す観客たちの姿に、あらためてその愛情の強さを実感する。

ポルカドットスティングレイ/Zepp Tokyo
ポルカドットスティングレイ/Zepp Tokyo

2曲演奏しメンバーがステージから捌けると、12月リリース予定の映像作品『ポルカドットスティングレイ 2019 有頂天ツアーファイナル ポルフェス45 #かかってこいよ武道館』から“DENKOUSEKKA”のライブ映像がフル公開される。「ここに集まった人々へいち早く映像を披露したい」という気持ちからのサービスだそうだ。映像が終了すると、黒の衣装に身を包んだメンバーが再登場。あらためて“DENKOUSEKKA”を生演奏と生歌で届けた。

MC時の雫は普段以上に博多弁が全開。衣装で黒いストッキングを着用した理由や、“DENKOUSEKKA”のライブ映像の裏話などを明け透けに話したりと、フランクなスタンスを取る。メロウなラップナンバー“ばけものだらけの街”で笑顔を見せながら音に乗って軽やかなパフォーマンスをする姿も、その延長線上のよう。観客がほぼファンクラブ会員といういい意味でクローズドな状況が、エンターテイナースピリット全開なポルカとは違う表情を見せていた。とても新鮮だ。

ポルカドットスティングレイ/Zepp Tokyo

センチメンタルな歌謡メロが印象的な“サレンダー”のあと、雫の「そろそろ(激しい演奏で)手をちぎるかー」という言葉から新曲“オトシマエ”へ。派手なフレージングや変拍子、随所に入れられたブレイクも相まって、演奏でもってショー的要素を見せる。今後強力なライブチューンとして育つことを大いに予感させた。

その後も自身が『ポケモンマスターズ』TVCMに出演していることを受けてYouTubeでゲームのBGMを公式カバーしたメドレーを披露して「他人様の曲だからとても緊張感がある」と語り、ファンクラブのテーマソングである“半泣き黒猫団のテーマ”では、曲中で会場全員で大声で「わ~!」と叫んだり、サイン入りのカラーボールやTシャツをフロアへ投げ込んだりなど、友達同士の会話のようなテンションでサプライズプレゼント的な展開を次々と見せていった。タイアップソングを多数書き下ろすというオープンな活動を次々にする一方、楽しみを共有する秘密基地的な遊び場を作り、それぞれで「その環境でしかできないこと」を明確に示すところは、やはりさすが切れ者だ。

ポルカドットスティングレイ/Zepp Tokyo

会場に集まった観客、ライブスタッフ、関係者やクライアントに感謝の気持ちを伝え、エモーショナルな“ラブコール”で本編を締めくくると、会場からすかさずアンコールを求める拍手が巻き起こり、「教祖」コールも始まった。バンド側が用意した遊び道具をフル活用しようとするファンの熱い心意気をあらためて感じる。

雫、エジマ、ミツヤスがステージに戻り、このワンマンに来れなかった人のためにとLINE LIVEでの配信を開始する。雫が「とっておきの新曲を披露します! あれ、でもユウくん(ウエムラ)おらんね?」と言い披露されたのは、この日が店着日である新作『ハイパークラクション』収録の癖の強すぎるボーナストラック“おはよう(塩多め)”。スパンコールで最強と書かれたTシャツを着たウエムラが2階席の下手から歌唱参加すると観客もそれを歓迎する。まだ店着日にもかかわらずすでにフロアは大合唱。そんな状況をメンバーも心から楽しんでいるようで、笑顔が絶えない楽曲披露となった。

ポルカドットスティングレイ/Zepp Tokyo

LINE LIVEの配信を終えたあとは、10月下旬に放送が開始されるTVドラマ『左ききのエレン』の主題歌“女神”を初披露。メロディと雫の歌声がよく映える、エレガントでほのかな切なさのある楽曲だった。同曲にまつわる今後の展開をいろいろと匂わせた雫は、「27歳をさらなる飛躍の年にしていきたい」と意欲満々。「もちろんみなさんついてきてくれます……よね?」と笑顔で語り掛けると、観客から大きな歓声が沸く。ラストにファンクラブアンケートでの投票の多かった“本日未明”を演奏し、自身の誕生日を華々しく締めくくった。

様々なタイアップソングの書き下ろしや楽曲提供などオープンな活動も精力的に行うなかで、今夏設立したばかりのファンクラブもかなり意欲的に動かしている様子が見て取れた「教祖爆誕」。コアファンが集まったからこそのツーカーの関係性が見える自由度の高いワンマンは、今後彼らの活動にもいい影響やサイクルを及ぼすことを予感させた。(沖さやこ)

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