SAKEROCK @ 日比谷野外大音楽堂

「晴れたー! どうもこんにちは、SAKEROCKです! 今日も好きに楽しんでいってください。初の野音、のんびりやりたいと思います。よろしくお願いします!」という星野源の挨拶で始まった、SAKEROCK結成11年目(今年11月からは12年目に突入!)にして、初の日比谷野音ワンマン。日本列島を直撃した台風12号の影響により、開場ギリギリまで開催が危ぶまれていたものの、幸運にもこの日の東京は雨も降らず風も強くなかったため、当初の予定通りの開催となった。

定刻を少し回った17時40分頃、デフォルメされたメンバーの顔が上部に描かれた4つのトーテムポール風のオブジェと、「SAKEROCK」というカラフルなロゴがあしらわれたバックドロップで装飾されたステージに4人が登場。会場を取り囲む森から聞こえる蝉の鳴き声が残暑の風情を醸す絶好のロケーションの中、ハマケンのトロンボーンの音色がしっとりと伸びていき、オープニング・ナンバーの“KAGAYAKI”がスタート。続いて目下の最新アルバム『MUDA』から“Goodbye My Son”“URAWA-City”と披露していき、“ホニャララ”へ。ゆったりと力の抜けた牧歌的な色合いながらも、どこかヘンでなんだか心に引っかかる(勿論良い意味で)、何とも形容し難い彼らのインストゥルメンタル・サウンドに浸りながら、ビール片手に体をゆらゆらさせているお客さん。相当気持ち良さそうな様子である。

最初のMCでは、暑くもなく寒くもなく、時おり涼しい風が心地良く吹き抜けるこの日の恵まれた天候に、「なんだこのフェス日和! 眠れなかった昨日の俺を返してくれよ!」とおどけてみせてから、「西の方(の野外イベント)は(台風の影響で)中止になったりして、手放しに喜べないんだけど、こうやってライヴができるのが本当に嬉しいです」と星野。そして「あいつ、がんばってたよ!」というハマケンの、演奏時とは違うニュアンスで心にモヤっと引っかかるMCに煽られて、客席後方でライブを見守っていたカクバリズムCEO=角張渉氏に向けて、会場から大きな拍手が送られる。ここでのMCによると、社長、「せっかくのSAKEROCK初の野音なのに、超大型台風が接近! あわや中止!?」と、今回の開催に至るまでかなり気を揉んでいたそう。

その後も伊藤大地のタム連打で立ち上がった“Hello Põ”、ハマケンの妙な挙動付きのスキャットに大爆笑が起こった“FUNK”、星野曰く「120回ぐらい練習した」にもかかわらず、ハマケンが入りを盛大にミスって場内から野次が飛んだ“Green Mockus”と、いつも通りのリラックスした調子でライヴは進んでいく。そして「野音満喫してる今ー!」(ハマケン)「みんなも満喫してくれ、この奇跡の1日を!」(星野)というMCから、田中馨のウッド・ベースが重く低く鳴り響いた“ラディカルホリデー”へ。このあたりから、すっかり日も暮れてきて、場外から聞こえる蝉の声に鈴虫の声が交じり始める。なんだかそんな野音独特の環境すらも、オーガニックなSAKEROCKのサウンドにあまりにもハマりすぎていて、彼らのライブの最高の舞台装置としての役割を果たしているかのようだった。

曲の終わりに星野とハマケンが「やっぱ好きやねん〜♪」とやしきたかじん風にハモって会場を沸かせた“穴を掘る”を終えてからは、メロウな楽曲が並んだ中盤のブロックへ。“グリーンランド”“ちかく”と繋いでいき、星野のクリーンなギター・サウンドとハマケンのレイドバックしたトロンボーンの音色が絡み合う“今の私”では、伊藤が口笛を響かせて、場内を包むセンチメンタリズムを最高潮まで押し上げる。次の“七七日”の後には、サポートキーボーディストの横山裕章が登場。さらに星野がステージ中央にセッティングされたマリンバのほうに移動して、ウォーミングアップを済ませてから“最北端”をプレイ。星野の叩くマリンバの軽妙なサウンドを中心に、“会社員”“千のナイフと妖怪道中記”と駆け抜けていくうちに、場内の熱はクライマックスに向けてじわじわと高まっていくのであった。

終盤には、サポートギター・キセル辻村豪文(兄)を迎えての6人編成で、上モノメンバー全員がガンガン前に飛び出してくるダイナミックな新曲“エメラルドミュージック”を披露。クライマックス直前のMCでは、iPadの話から自称「マカー」(Apple社製品の熱狂的ユーザーのこと)発言をして場内をポカーンとさせたり、星野がFrancfrancでベッドを買ったことに憧れて無印良品でベッドを買うという、中途半端な星野源フォロワーぶりを暴露されたりと、ハマケンが場内の笑いを誘いまくる。そして再び4人になって、“モー”“慰安旅行”“WONDER MOON”とラストスパートをかけていき、最後はシャツを脱いでピンクのタンクトップ姿(しっかりシャツイン)になったハマケンと伊藤による、ライヴ恒例の「対決」を経て、“生活”で本編は終了。

アンコールでは角張社長の呼び込みで、お揃いの白スーツでステージに現れた4人と横山。まずは“インストバンド”をプレイ。そして続く“スーダラ節”の、野音中を巻き込んだ《スイスイ スーララッタ/スラスラ スイスイスイ》の大合唱で1回目のアンコールは終了。そしてダブルアンコールでは、再度登場の角張社長が12月のツアーを発表してから“MUDA”を披露。「コノヤロウ! 2011年、無駄だったとは言わせねえぞコノヤロウ!」(星野)と、渾身の演奏で場内の祝祭ムードを爆発させて、大きな拍手と歓声に包まれながらライヴはフィナーレ。かっこよかったり情けなかったり、洒脱だったり熱かったり、切なかったり笑えたり。そんなSAKEROCKの多面的な魅力の全てが凝縮された充実のステージを完遂し、何十年と続く日比谷野音の長い歴史に、またひとつ新たな伝説を刻んだ4人なのであった。(前島耕)

[セットリスト]
1. KAGAYAKI
2. Goodbye My Son
3. URAWA-City
4. ホニャララ
5. Hello Põ
6. FUNK
7. Green Mockus
8. ラディカルホリデー
9. 老夫婦
10. 穴を掘る (+やっぱ好きやねん)
11. グリーンランド
12. ちかく
13. 今の私
14. 七七日
15. 最北端
16. 会社員
17. 千のナイフと妖怪道中記
18. エメラルドミュージック(新曲)
19. モー
20. 慰安旅行
21. WONDER MOON
22. 生活

アンコール
1. インストバンド
2. スーダラ節

ダブルアンコール
1. MUDA
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