【JAPAN最新号】Ado、運命に導かれた20年、そのすべて――革命の歌い手は、いかにして「Ado」になったのか? その半生を今、語った奇跡の2万字インタビュー

【JAPAN最新号】Ado、運命に導かれた20年、そのすべて――革命の歌い手は、いかにして「Ado」になったのか? その半生を今、語った奇跡の2万字インタビュー

普段は平凡な学生、でも、家に帰った裏の顔は、超人気な○○。これはかっこいい!って。
みんなには内緒で、あのAdoが実は!っていうのがいいなって。
それってアニメのキャラみたいだ、って思ったんです――

現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』1月号表紙巻頭にAdoが登場!

運命に導かれた20年、そのすべて
――革命の歌い手は、いかにして「Ado」になったのか? その半生を今、語った奇跡の2万字インタビュー

インタビュー=小栁大輔 イラスト=ORIHARA


Adoの本当のすごさとはなんなのだろう。
このインタビューを読んでもらえば、きっとその答えを見つけてもらえるんじゃないかと思う。
あるいは、なぜ僕たちは、Adoの歌声にこれほどまでに心を震わされてしまうのか。その答えもここにある。そうか、だからAdoはすごいのか――。それぞれの読者の中で、それぞれのAdo体験を通して実感される、深い納得が得られることだろうと思う。
というわけで、この時点でインタビューに進んでもらいたいのが本音なのだが、それじゃさすがに淡白なので、僕が考えるAdoの素晴らしさについてもう少し書いてみようと思う。

みんなも知っている通り、Adoは曲も書かないし、詞も書かない。これから先のことはわからないが、AdoがAdoである以上、というか、AdoがAdoとしての生涯を生きていく以上、きっとずっとそうだろうと僕は思っている。
Adoの歌というのは、あらかじめ完全な形で生まれ、あらかじめ完全な「表現」として、今僕たちの心を震わせている、と思うからだ。そして、優れた作家陣がその完全な歌に、楽曲固有の物語とメッセージを付与していく。結果、極めて彩りの豊かな、音楽としての「多様性」が、完璧な形で編み上げられていくことになる。
これがAdoの、“うっせぇわ”から、“踊”から、あるいはウタとして歌った“新時代”や“風のゆくえ”まで、ほとんど支離滅裂なまでに「多様」な名曲たちを次々と生み出し、歌い続けられてきたことの構造なのだと思う。
 
Adoはまるで天から垂らされた無数の糸を操るように、すべての楽曲に「生命」を与えてみせる。まるで魔法だと、僕はいつも思う。Adoは楽曲の「生かし」方を知っている。そして何より素晴らしいのは、Adoが与えるその「生」の中には、この世俗を生き抜かんともがく溢れんばかりの生命力と、喜怒哀楽のすべてが100の強度で刻み込まれた、超・高解像度的な人間のあり様が刻まれている、ということだ。

しかし、それはなぜなのだろう、なぜAdoだけがそんな魔法を使うことができるのだろう、と、僕はずっと考えていた。そして、このインタビューでひとつの答えを得た気がした。

それはつまり、Adoがガンガン生きている、ということなのではないか。日々に苛まれ、やるせなさと戦い、なんとか死なずに生きている僕たちと同じように、Adoも日々に苛まれ、やるせなさと戦い、希望を見失わずに、なんとか死なずに生きている、ということなのではないか。
Adoが僕たちに叩き込むあの圧倒的な共感とはつまり、「うっせぇわ」と叫ばれた瞬間にすべてのやるせなさが成仏させられたような気がしたあの凄まじい説得力とはつまり、Adoが、そういう人だから――つまり、僕たちと同じように、時代に翻弄されながら、日々なんとか生きようとしている、そんな人だからなんじゃないか。一切の表情を窺い知ることができない歌い手・Adoをして、僕は今回のインタビューを通して、そんなあからさまな「人間」を感じたのである。

Adoの革命とは、バーチャルな「新しさ」にも、歌い手としての「巧みさ」にも、ただそれだけに根ざしているものではない。僕たちと同じように、毎日しんどく生き、繰り返しの日々の中で歌い続けるしかない、ひとりの人間としてのリアリティにこそ宿っている。

今、僕たちは、きっとこれから何年かの後に語られることになるであろう「Ado以前/Ado以降」という物語の分岐点にして、新たな歴史の出発点に立ち会っている。その幸福を実感しながら、このインタビューを読んでもらえたら嬉しい。(小栁大輔)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年1月号より抜粋)



【JAPAN最新号】Ado、運命に導かれた20年、そのすべて――革命の歌い手は、いかにして「Ado」になったのか? その半生を今、語った奇跡の2万字インタビュー - 『ROCKIN’ON JAPAN』2023年1月号『ROCKIN’ON JAPAN』2023年1月号
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