10周年とレーベル移籍という節目を経て、go!go!vanillasは新章に突入した。その第一歩にして間違いなく最高傑作と言えるアルバムが堂々誕生である。実験室を意味する「Laboratory」と愛を意味する「ラブ」を重ね合わせて『Lab.』と名づけられた移籍第一弾アルバムは、言うまでもなく“SHAKE”や“平安”、“Persona”という移籍後のシングルで見せてきた新たなバニラズの集大成であるのと同時に、この4人にしか鳴らせないロックンロールを真正面から注ぎ込んだ渾身のロックアルバムだ。楽曲自体のバラエティ性に加え、5人の名だたるミックスエンジニアが参加することで生まれた多彩なサウンド、そして社会の問題から歴史、ロックンロールの伝説まで縦横無尽にぶった斬るような歌詞。このアルバムから浮かび上がるバニラズは、これまで以上にひと言では言い表せないさまざまな顔を見せてくれる。しかし、牧達弥(Vo・G)の描く明確なビジョンと、それを的確に具現化するメンバー3人の手腕が、その一見バラバラな楽曲たちをガッチリと結びつける。そして、その中で背骨のようにしてアルバムを支えるのが、“Super Star Child”や“Moonshine”のようなストレートなロックチューンだというのも、ずっと彼らを追いかけてきたファンにとっては感動的だろう。「実験」を繰り返し変化し続けるのもバニラズの本領だが、その変化の先で、彼らは彼らにしか生み出せない「王道」もしっかりとその手に握りしめている。これがgo!go!vanillas、僕らの時代のロックンロールだ。カメレオンバンドになるには時間が必要なんですよ。やっとその説得力が生まれた
インタビュー=小川智宏 撮影=TAK SUGITA(Y’s C)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年1月号より抜粋)
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