今、恋愛の物語を描くならば「恋愛とは何か」を再発見できるものでないとリアルな表現にならない。
逆に思いっきり現実の恋愛から逃避するための恋愛物語というのも現代ならではなのだが、はっきり言ってみんなだんだんそういう妄想恋愛ごっこにも飽きてきているのでは?
『君の名は。』はアニメーション映画にしかできない時空を超えた手法で「恋愛とは何か」を再発見させてくれたし、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』は連ドラならではの日常に寄り添うリズムで楽しく「恋愛とは何か」をまさに再発見させてくれているところ。
どちらの作品も今の時代において唯一無二のリアルな恋愛物語であることが、既存の恋愛映画や恋愛ドラマに何も感じなくなったたくさんの人の心にものすごくまっすぐ刺さったのだ。
奇しくも帯の推薦コメントを新海誠と星野源が書いているけれど、この川村元気の新作小説『四月になれば彼女は』は、まさに現代を生きる僕らに「恋愛とは何か」を文学にしかできないナイーブな表現によって再発見させてくれる作品。
これもまた既存の恋愛小説に何も感じなくなったたくさんの人の心にものすごくまっすぐ刺さる、唯一無二のリアルな恋愛物語だ。(古河)
川村元気『四月になれば彼女は』を読んで
2016.11.12 22:14