アルバム『ミカヅキの航海』後初のシングル曲となる“月と花束”は、自分自身と聴き手の「空白」を真摯な歌でつないできた彼女が、「自分が生きる意味を自分で選び取ること」を高く掲げてみせた新たな一歩だった――ということは、前号掲載のロングインタビューでも語ってもらった通りだ。
そして。その“月と花束”の奥底に秘められたさらなる色彩が、シングル『月と花束』3形態でそれぞれ異なるのカップリング曲と響き合うことで、別々のストーリーが浮かび上がってくるのだ。太陽=“月と花束”とその周りを巡るカップリング曲群の間の引力が、『月と花束』という惑星系を生み出していくかのように。
2月28日発売の『ROCKIN’ON JAPAN』4月号では、そんな「『月と花束』という宇宙の広がり」の在り方について、改めてインタビューで迫ってみた。
「あなたは宇宙初の、初めての物体なんですよ、っていう。他の人と似てる人間だけど、あなたっていうのは宇宙にひとつしかいない生き物なので。そこはもう、あなただけの正しさがあるんですよ、っていうのを、どれだけ感覚として伝える歌が歌えるかっていうのが、今の自分のテーマかなって思いますね」
己を日々研ぎ澄ませ続けるさユりの「今」を、改めて読み取っていただければと思う。(高橋智樹)