Laura day romanceの新SG『Young life/brighter brighter』は、今、暗闇でもがく人の光となり道標となる

Laura day romanceの新SG『Young life/brighter brighter』は、今、暗闇でもがく人の光となり道標となる
新体制となって初のデジタルリリース。「バンドの音」を実直に磨いてきた軌跡が見える、余計な添加物や華美なアレンジを排除したシンプルなサウンドは、それゆえにエモーショナルながらひと癖あるメロディや井上花月(Vo)の唯一無二の歌声といったバンドのアイデンティティをより際立たせる。

一聴して「Laura day romanceだ」と嬉しくなるような音が堪能できる2曲だが、歌詞だけはこれまでと毛色が異なる印象を受けた。メインのソングライターである鈴木迅(G)は、これまでも基本的に「私」や「僕ら」を主人公に置いた楽曲を世に放ってきたが、相手との関わりの中で感情が揺さぶられる様子が見えたり、「あなたがこう思うなら私はこうする」というように、あくまで「相手ありきの自分」を描いていた。

一方で今回の2曲の歌詞は、なんのフィルターも通さず、「私はどう思っているのか」「私はどうしたいのか」と、自分自身にフォーカスを当て、とことん向かいあっているように感じる。だからそのぶん、自分の見たくない一面や自分の力ではどうにもならないことにも対峙せねばならず、それに対する惑いや諦めも歌詞に色濃く表れており、《明日死んだとしても別に構わないけれど/死んでもいいような今夜を 探して歩くんだ今夜》(Young life)、《理由なく流れる涙は/誰かの目に留まらなきゃ/天国へ行けない 天国へ行けない》《最期の日まで奪われないそんなものが欲しい》(brighter brighter)という歌詞は死生観すら感じさせる。

自分を見つめ、惑い、時に諦めることはとても怖いし苦しい行程だ。ただし決して悲しさを生むだけの道のりではない。「惑うこと」は「自分を理解すること」の過程だろうし、「諦めること」は「自分を受け容れること」にも通じていると思う。

惑い、諦めることで開ける世界がある。
自分自身を受け容れることができたからこそ、相手や世界も認めることができる。
そしてそれは世界の見え方をも変えてしまう。

“brighter brighter”では、最後にこんな言葉が放たれる。

《brighter brighter/嫌った世界がこんなに綺麗な場所だとは》

このひと言が、今、暗闇でもがき続ける人の心に光を灯し、道標になることは間違いない。(藤澤香菜)


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