Chilli Beans.の音楽がここまで深く腹の奥の奥まで刺さるのか──それは一重に彼女たちが鳴らす音の太さにある。
もはや図太いと言ってもいいかもしれない。
6月14日、豊洲PITで行われたライブハウスツアー「open my mind Live house Tour」、そのファイナル公演。会場の後方から見届けた3人の姿は、鳴らされる音の太さに比例するかのように何倍にも大きく観えた。
ダンスもポップもバラードも、すべからくそのグルーヴで心まで弾ませるリズム隊、エッジの効いたリフもヘヴィなストロークもたったひとりの指から爪弾かれたとは思えないほどクールな表情で堂々と鳴らされるギター、ゆっくり踏みしめて歩くように絞り出される低音も、微睡みの中囁かれるようなファルセットも、サウンドに負けることなくどストレートに飛んでくるボーカル。
3人それぞれが独自のポップセンス、カルチャーを最大限発揮して、一切の遠慮もなく自由にその波を乗りこなしている姿は圧巻で、3人が火花を散らして切磋琢磨しているという精神性は少なからず持ち合わせているように感じるのだが、それらはすべて自由と快楽というエネルギーに変換されてオーディエンスの心を満たしていく。
観終えた頃には息が漏れそうなほど心はパンパンに膨らんでいて、それでいて不思議と体が軽くなったような錯覚を起こす。
ライブでは6月26日(水)に配信リリースされる新曲“Mum”も披露され、10月からはホールツアー「open my mind Hall Tour」の開催も決定。
2月に観た武道館でも今回のライブハウスでも、イノセントな音楽を鳴らすチリビのライブはその図太い「音」が中心となって無限に広がっていって、それがたまらなく心地いい。早くも次のライブが楽しみだ。(橋本創)
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なぜChilli Beans.の3人が何倍にも大きく観えたライブハウスツアー豊洲PIT公演!
2024.06.17 18:25