TOOBOEの音楽は、無力感と絶望感が染みわたるような暗闇の中にリスナーを引き込む。しかし、それは単なる無気力や諦めではない。彼の楽曲には、疲弊しながらも必死に生きようとする不安定な命が刻まれている。虚しさと無常感に苛まれながらも、完全には屈服せずに、かすかな希望を胸に抱き彷徨う姿にこそ、強く心を惹かれるのだ。彼の楽曲世界では、一般的な「健全さ」よりもむしろ、都市生活の倦怠感や、無機質で孤独な社会に対するニヒリズムがどこか冷ややかに、しかし鋭く描かれる。この「健全さ」の排除こそが、僕たちの中に潜む影や矛盾、時には切り離したくても離れない弱さに共鳴する。
そのダークな楽曲と対をなすポップな映像の組み合わせも秀逸で、映像演出を駆使したTOOBOE独自の世界観に引き込まれるライブだった。この日はFAKE TYPE.との対バンだったが、両者の音楽はまさに現代に求められる必然があると感じたライブだった。(古閑英揮)