マキシマム ザ ホルモン×くるり、熱かったライヴの中身

マキシマム ザ ホルモン×くるり、熱かったライヴの中身

pic by H.and.A

さて、昨日密着していたマキシマム ザ ホルモンの東北ツアー「俺たちの太2013」、大船渡公演。いろいろな意味で特別だし、それだけにあらゆるエモーションがどばぁっとぶち撒けられるようなライヴだったので、改めてその内容をお伝えしたい。ちょっと長いですが。

何が特別だったのかというと、まずホルモンがこれほどキャパシティの小さなライヴハウスでツアーをやるということ自体がレア。「爪爪爪TOUR」以来だから4年ぶりで、それだけで特別。しかもゲストバンドが初の対バンとなるくるりという、名前が並んでいるのを見てもいったいそこで何が起こるのか想像もつかないしそもそも食い合わせがいいのか悪いのかすら判断不可能な組み合わせであるということも特別。そして何より、これが東北ライブハウス大作戦によって東日本大震災の被災地に作られたハコを周るプロジェクトであるということが特別。今回のツアーはホルモンが被災地に灯油を無料配布する「東北灯油大作戦」とも一体となっていて、復興支援の意味合いももちろんある。といろいろテーマや大義はあるが、実際観て感じたのは、これはそんなテーマや状況設定以上に2バンドがそれぞれに全力でぶつかり合うことで生まれるエネルギーこそが最大のメッセージになっている、直球勝負のガチンコツアーなのだということだ。

会場の大船渡FREAKS、大船渡の海からほど近く、現在は影も形もなくなってしまった大船渡駅の目の前にある。津波の直撃を受け破壊されたビルの上階部分を改装して作られたライヴハウスだ。震災以前は街のメインストリートだった場所にもかかわらず、現在周囲はほとんど更地になっていて、満潮時には地面から水が溢れ出してくるという。そんなところにライヴハウスだけがぽつんとあるのだ。どんな想いでこのハコが作られたのか、想像を絶するような場所だ。店内の壁面にはライヴハウス大作戦に募金した証として募金者の名前を書いた木札がぎっしりと打ち付けられていて、そこにはミュージシャンの名前もファンの名前も一緒に並んでいる。小さなハコなので、ステージとフロアの距離感はほとんどゼロに等しい。この近さでホルモンやくるりを観るのだ。

先攻はくるり。FREAKS店長・通称オキナワさんによる避難経路のアナウンスの後、なんとステージではなくバーカウンターの中に登場した岸田繁とファンファン。アンプラグドの弾き語りによる“ブレーメン”からライヴがスタートした。いきなりのサプライズに驚くオーディエンスを見ながら朗々と歌い上げ、そのままフロアを通ってステージに上るふたり。ステージには佐藤征史と新サポートドラマー・よっちが待っている(ちなみに今回のツアー、吉田省念は岸田のMCによれば「私用のため欠席」)。鉄道マニアの岸田らしく“トレイン・ロック・フェスティバル”では三陸鉄道の復興への願いを歌詞に込め、お客さんと大船渡の名物について会話をし(サンマとワカメだそう)、新曲も立て続けに披露。その新曲のうちひとつでは、いきなり観客(と店長オキナワさん)とのコール&レスポンスまでやってのける。まだこのツアー残りの日程があるのですべてのディテールを書くわけにはいかないが、もちろん有名なあの曲やあの曲もしっかりやりながらも、それ以上に「ここからはじまる」くるりのニューフェーズを見せるようなライヴで、それがこのライヴハウスのストーリー、そして大船渡の街のストーリーにも重なっていく。あとはホルモンのライヴを間近で観たことも刺激になったのかもしれない(岸田は「ああいう音楽で感動して涙が出そうになったことはなかった」と語っていた)。あまり見たことがないほどアグレッシヴで攻撃的なくるりだった。

続いてホルモンが満を持して登場。ステージが暗転しSEが鳴り出した瞬間から、すさまじい歓声。ホルモンのツアーなので当然といえば当然だが、観客の「ホルモン待ってた感」が半端ではない。腹ペコ度数が尋常じゃないのだ。その時点でとんでもないライヴになることは想像できたが(第一普段のスケールからすると異常にバンドが近いし)、音を鳴らし始めたバンドは、観客の期待のさらに上をいくテンション。のっけからヘドバンの嵐を巻き起こし(しかも、なんというか、ヘドバンの密度が濃い)、フロアの高揚感を煽りまくっていく。ナヲが「大船渡、待たせたね!」と叫ぶと怒号のようなレスポンス。ダイスケはんの「大船渡のロック魂見せてくれ!」という言葉に、さらに興奮はエスカレートしていく。フロアいっぱいにいたはずのオーディエンスが、圧縮されて前方2/3くらいのエリアに密集している。なんだこれ!
「今日までのたまりにたまったもん、ぶつけてこいよ、OK?」。ダイスケはんが言ったように、FREAKSに集まったキッズは、まるで何かを解放するかのように、轟音を浴び、拳を突き上げ、身体をぶつけ合う。大義名分はどうでもいい、ここで音が鳴っていて、そこにこれだけの人が集まっているという事実だけがひたすらリアリティを増していく。もちろんホルモンなので、地元イジリのMCもあれば、ご存知恋のおまじないもやるし、アンコールではダイスケはんがマイク持ったままトイレに行く(このハコ、バックステージにトイレがないのだ)とか、ネタも満載なのだが、そもそもなぜホルモンに惹かれるのかといえば、この剥き出しの感情と欲望をまっすぐぶつけ合うロックのコミュニケーションの強力さゆえなのだと、改めて思い出す。ナヲが「なんか八王子にいる気分なんですけど!」と思わず口にしていたのは真実だろう。バンドもオーディエンスも、すべてを懸けて正面衝突を繰り返すような、まるでゼロ地点のように壮絶な光景が広がっていた。セットリストもその真剣勝負を体現するようなものになっていたのだけれど、それについては誌面でお伝えできればと思う。

さらに細かいレポートは2月28日発売のJAPAN4月号で書くので、そちらをぜひ。
そして今日はこれから灯油大作戦に同行します。その様子も追って!(小川)
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