僕たちのロックはついにここまできた。ONE OK ROCKがやっぱりやってくれた。
過去最高のONE OK ROCKアルバムを更新することがそのまま世界への一筋の道を突き進むことになるという、今このシーンにおいて、この4人にだけ許されている王道。その王道のど真ん中を爆進している実感、自信と確信がどの断片、どの瞬間からも聞こえてくる。
ONE OK ROCK8枚目のアルバム『Ambitions』。
これは若き王者が世界に向けて放つ堂々たる最高傑作だ。
しかし、「野望」と名付けられたこのアルバムはこれまでのどのONE OK ROCKアルバムとも違う。
メンバー全員が自信と不安を同じように語っている通り、きっと多くのリスナーもすぐにこの変化には気が付くはずだ。
まず、メロディが違う。時に美しく繊細に揺れ動きながら独特のエモーションを描いてきたTakaのメロディはシンプルに削ぎ落とされ、そのかわりに、もはや比べる対象が見当たらないほどのしなやかでダイナミックなボーカルが前面に押し出されている。あるいは、ひとりひとりのプレイヤーが持つスター性以上に優先されているのは、バンドをひとつの塊として表現するアタック感とゆったりとしたグルーヴだ。
そして、歌詞は基本的に英語で書かれているが、ここぞという間で的確に注ぎ込まれるワンフレーズの日本語詞には、まるで古の歴史を経て磨かれてきた格言のような真理と気付きが刻まれている。
そのどれもが、4人の明確な意志にもとづいてなされた確信的な変化なのだ。
ワールドツアーを繰り返し、アメリカで暮らし、アメリカのスタッフと同じ釜の飯を食い、4人はきっとカラッとした空気の中でたくさんの会話を交わし、笑い、時にぶつかりながらこの作品を作ったのだろう。
アルバムの一音目から、およそ僕たちがまだ出会ったことのない、独特に乾いた分厚く鳴り響くサウンドが立ち現れるが、まさに「圧倒される」ようなこの瞬間こそ、ONE OK ROCKがいよいよ世界に通じる扉に手をかけた瞬間であり、このアルバムの凄まじさに触れることの巨大な喜びであると僕は思う。
ロックの夢と世界の現実が重なり合った景色を、僕たちはついに見ることができる。
そう、『Ambitions』の向こう側に広がっているのは、そんな前人未到の風景である。