グレース・ヴァンダーウォール最新ライブレポ。やはり破格の才能としか言いようがない。

グレース・ヴァンダーウォール最新ライブレポ。やはり破格の才能としか言いようがない。 - Photo by Akemi NakamuraPhoto by Akemi Nakamura

グレース・ヴァンダーウォールは、「アメリカズ・ゴット・タレント」というオーディション番組で12歳の時に優勝した。

その過程がまとめられたビデオ。

現在13歳になった彼女のデビュー作『ジャスト・ザ・ビギニング』が完成し、NYで行われたライブをいち早く観て来たのだけど、驚いた。

アルバムの完成度があまりに高くてびっくりしたのだが、でも、本当の才能はライブを観てみないと分からない、思って行ったのだけど……。ありきたりの表現になってしまうが、13歳とは思えない破格の才能としか言いようのないあまりに素晴らしいライブだった。

まず13歳でTV番組から出て来たとなると、どこか作られた感じとか、年齢より無理しているところとか、かと思えばやたら大人ぶってるとか、何か違和感が見付かってもおかしくないと思うのだが、どう欠点を捜そうとしても何も見付からなかった。そもそも、この日のライブ会場は、1000人強なので、すべてが至近距離で観えるし何も隠せない。

裸足でステージに登場に、ぴょんぴょんステージを駆け回る姿は、13歳らしいかわいらしさがありながらも、ステージに立つことが本当に彼女にとって喜びなのだということを全身で表していた。しかも、それを本当に自然に表現していた。

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1曲目、ヒット曲の“Moonlight”をウクレレなしでパフォーマンス。ガーリーなワンピースを着た彼女。髪の毛も肩まで延びてまずめちゃくちゃかわいい! TVに出ていた時のあどけなさから少し成長していて、もう“子供”という感じはしないところも良かった。

“Moonlight"のMVはこちら。

裸足でステージを飛び回り、会場を盛り上げようとする……というか、出て来る前から“グレース!”の名前が連呼されていたため、出て来た瞬間にはものすごい歓声だったわけだが。でも、それを弾けるエネギルーとさっそく鳥肌ものの歌声を披露して、会場の熱は一瞬にして上がる。しかし、後半にはウクレレを抱えて、今度はしっとりとその歌声を聴かせるからその空気感の動かし方も上手い。

続けて、ウクレレで“Sick of Being Told”を演奏。「トオオオオルド」という部分が大合唱。そして彼女もウクレレをかき鳴らしながら、またジャンプ!

さらに、驚いたのが、例えば、エドワード・シャープ・アンド・ザ・マグネティック・ゼロズの“Home”のカバーや、レオン・ブリッジズの“River”のカバーを披露しても、その声の表現力があまりに豊であること。カントリー調から、ソウルフルな声へ。とりわけ、“River”などの深さと言ったら、彼女の何倍も歳ととったシンガー達がバーでその何倍も薄い表現しか出きていないのを何度も目撃したことがある、と思えるくらいだった。

持って生まれた才能と言ってしまえばそれまでなのだが、たった13年間の人生で、どうやってここまで身に付けてしまったんだろうというくらい。しかも、矛盾するようだが、それを形だけなぞった耳年増的な表現にしているわけでもないところが、さらに素晴らしいところだったのだ。

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かと思えば、エレクトロポップ調の曲“City Song”では、ステージの座って、観客に接近して歌いかけるように始めながら、後半ポップにステージを跳ね回ったり、また“Florets"でも、ファンタジーが広がるような世界観を作り上げていた。

最も盛り上がった曲は、彼女自身も、「たぶんこの会場にいる3分の2の人達が歌ってくれるんじゃないかしら?」と言った“Beautiful Thing”。彼女がウクレレを演奏し始めた途端に彼女が歌い始まる前に、会場が歌う勢いだった。また、アンコール前の本編を飾った“So Much More Than This”も同様。観客のほうが先に歌い出してしまって、彼女の声がかき消されるくらいの盛り上がりだった。

“So Much More Than This”のリリックビデオ。

アンコールでは、“I Don't Know My Name”。ウクレレを持っていたけど、これまた会場と一緒にアカペラで歌い出し、大合唱でライブはあっと言う間に終ってしまった。

今回驚いたのは、会場に集まったファンがなんとこれまでの私のライブ歴最年少かと思える若さだったこと。たぶん、10歳くらいから15歳くらいが中心だったのではないだろうか。だから、みんな身長が低くてかわいそうなくらいだった。そんな子達が一生懸命背伸びしながら頑張って歌ったり、場合によってはお母さんやお父さんに肩車して観ている姿にはじーんと来てしまった。場合によっては生まれて初めてライブを観た、という子達も多かったのではないかと思う。

きっと彼女達がさらに大きくなった時に、自分がいかにすごい瞬間に立ち会っていたのかを、後から自慢できるような本当に素晴らしい完成度のライブだった。13歳でここまで完成していて、一体この先どうするんだろう、というくらい。恐らく、まだ若いから一般的には、ティーン・アイドルと見られているところがあると思うけど、今後は、大人達の評価が彼女の本当の才能に追いついてくるのではないだろうか、と思った。本当に今後どうなるのか想像もつかない、アルバムのタイトルで彼女が宣言している通り、「これはまだ始まりでしかない」……恐ろしい才能だ。

NYセットリスト

1. Moonlight
2. Sick Of Being Told
3. Talk Good
4. Burned
5. Gossip Girl
6. Clay
7. Home (cover)
8. City Song
9. A Better Life
10. Light The Sky
11. River (cover)
12. Escape My Mind
13. Insane Sometimes
14. Beautiful Thing
15. Florets
16. So Much More Than This
Encore
17. I Don't Know My Name
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