信じられないニュースが届き、世界が言葉を失っている。『ブラックパンサー』で主役を演じたチャドウィック・ボーズマンが8月28日に大腸癌で亡くなった。43歳だった。
以下彼の公式ツイートアカウントの投稿。
「計り知れない悲しみとともに、チャドウィック・ボーズマンが亡くなったことをご報告します。
チャドウィックは、2016年に大腸癌のステージ3と診断されました。そして4年間の闘病生活の中で、ステージ4に悪化しました。
しかし真のファイターであるチャドウィックは、それまで通りの彼を維持し、皆さんが愛して下さった映画を何本も作り続けました。『マーシャル 法廷を変えた男』(2017年)から、『ザ・ファイブ・ブラッズ』(2020年)、"Ma Rainey's Black Bottom"までの作品は、すべて数えきれない手術と抗がん剤治療を受けている間に撮影されました。
そのキャリアにおいて、『ブラックパンサー』(2018年)で国王のティ・チャラに息を吹き込むことができたことは、名誉なことでした。
彼は自宅で、妻と家族に囲まれて亡くなりました。
家族から皆さんの愛と祈りに感謝します。この困難な時期に家族のプライベートを尊重していただければと思います」
世界が言葉を失ってしまったのは、彼の映画を観ていても、癌だったことにまったく気付かなかったことだ。とりわけ、『ブラックパンサー』を癌の闘病中に演じていたとは。
https://youtu.be/qQfUpT9fVSA
オバマ元大統領や、『ザ・ファイブ・ブラッズ』の監督のスパイク・リーはじめ、『アベンジャーズ』の共演者から、カーディ・B、ビリー・アイリッシュ、ミック・ジャガーまで次々に追悼のコメントを寄せている。
オバマの投稿。
「チャドウィックは、彼がジャッキー・ロビンソンを演じた時に子供達との交流のためにホワイトハウスに来てくれた。彼がいかに才能に恵まれた人なのかは会ってすぐに分かった。『若く、才能があり、黒人であること』。彼はその力を使って、子供達の目標となるようなヒーローを提示してくれた。しかもそれを彼自身は苦痛の中でやったなんてーー驚くべき生き方だ」
https://youtu.be/PyYyBYf5Q7Q
スパイク・リーの投稿。彼はいくつか投稿しているので、その中から。
「ストーミン・ノーマンが天国の光の中に。Mr.チャドウィック・ボーズマン」
ストーミン・ノーマンは、彼の役名。
「Mr.ボーズマンが、彼にとっても重要な役ストーミン・ノーマンの最後のシーンを演じた後。ザ・ブラッドが、敬意を表しているところ。神のご加護を」
『ザ・ファイブ・ブラッズ』は現在Netflixで配信中だ。
https://www.youtube.com/watch?v=B_5Gqi6otlI&feature=youtu.be
またデンゼル・ワシントンは、才能ある学生に密かに奨学金を出していたのだが、実はチャドウィックが学生の時にオックスフォード大学の夏期講習で演技のクラスを取得した際、その学費を全て払っていたのはデンゼルだった。去年、デンゼルがアメリカン・フィルム・インスティチュートで功労賞を授賞した際、チャドウィックがスピーチした。「デンゼル・ワシントンがいなかったら『ブラックパンサー』はなかった」と。
自分が癌を治療する中で、一体どんな気持ちで作品を1本ずつ選んでいったのかと思うとその心境は想像を絶するが、これから公開される、彼の最後の作品となった"Ma Rainey's Black Bottom"は舞台の映画化で、プロデューサーがデンゼルだったので泣けた。デンゼルも追悼のコメントを発表している。
「彼は優しい魂の持ち主であり、素晴らしいアーティストだった。彼はその短い、しかし輝かしいキャリアにおけるアイコニックな演技を通して我々の心に永遠に残るだろう。神のご加護を。チャドウィック・ボーズマン」
『アベンジャーズ』のメンツもそれぞれ追悼している。以下は、ロバート・ダウニーJr.のコメント。
「Mr.ボーズマンは、自分の命のために闘っていたのに、みんなと同様に何事もないかのように振る舞っていた。これぞ、ヒロイズムだと思う。これからも彼と楽しく過ごした時間を覚えていたい。彼の笑う姿や、彼がいかに時代を変えたのかということを #chadwickforever 」
ミュージシャンも次々に追悼している。以下いくつか紹介。
チャンス・ザ・ラッパーはいくつか投稿している。
「ジャッキー・ロビンソン、ジェームス・ブラウン、サーグッド・マーシャル(アフリカ系アメリカ人として初めて最高裁の判事に就任)、ブラックパンサー、チャドウィック・ボーズマン。全員、俺たちのリアルなスーパーヒーロー達だ」「チャドウィックが亡くなったことが、時間が経てば経つほど重く感じる。彼がいかに素晴らしい人だったのかと思うと心から悲しい」「『マーシャル』が公開された時、俺はシカゴの劇場のチケットを1日分全部買ったんだ(*ファンを無料で招待するために)。それで上映の2日前にチャドウィックにサプライズで上映後のQ&Aに来てくれないか?と聞いたら、イエスと言ってくれた上に、ただでシカゴまで飛んで来てくれたんだ。みんな彼が大好きだったし、なんて優しい人なんだ、と思った。だけど、まさかその時彼が癌と闘っていたなんて思いもしなかった」
https://www.youtube.com/watch?v=G96acoGkmfI&feature=youtu.be
カーディ・B
「RIPキング。まじで本当に悲しい。彼の家族にお悔やみ申し上げます。彼の作品とそれが与えた影響。そのすべてを癌と闘いながらやっていたなんて。真の戦士だと思う」
レディー・ガガ
「本当に悲しい。戦士の家族にお悔やみ申し上げます」
ビリー・アイリッシュ
「安らかにお眠りください。クソ、まじかよ」
そして、彼がジェームス・ブラウンを演じた『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』(2014年)のプロデューサーだったミック・ジャガーもコメント。
「チャドウィック・ボーズマンが亡くなったと聞いて本当に悲しい。彼は最高で、面白くて、優しい人だった。しかもものすごく才能のある俳優だった。多くの人達に惜しまれるだろう」
https://www.youtube.com/watch?v=Wf2flHCObjc&feature=youtu.be
ちなみに写真はその記者会見で撮ったもの。写りが悪すぎてすいません。
気になるのは、アンジェラ・バセットなど以外のマイケル・B・ジョーダン始め『ブラックパンサー』の共演者がまだほとんど追悼していないこと。さらに監督のライアン・クーグラーもまだだ。あまりに悲しくて言葉にならないのではないかと思う。
私もいまだに信じられない。ご冥福をお祈りします。