アメリカでアジア人へのヘイトクライムがコロナ後急増している。例えば、NY警察が発表したところによると、NY市ではこの1年で867%も上昇するという異常事態だ。
緊迫した空気は長い間あったが、とうとうジョージア州でアジア人女性が6人も射殺されるという悲惨な事件が起きてしまい、ミュージシャン達も次々に声を上げている。
●リアーナ
「昨日アトランタで起きたことは、残忍で、悲劇的で、そして間違いなく単独で起きた事件ではない。AAPI(アジア、太平洋諸島系米国人)へのヘイトは、しばらくの間横行していたし、最悪だと思う! アジア人コミュニティを思うと心が張り裂ける。亡くなった方の家族のことを思っています。ヘイトは止めなくてはいけない」
●ジャネット・ジャクソン
「アジア人コミュニティのことを思うと心が痛いです。昨日の悲劇で影響を受けた人達に祈りを捧げます。#StopAsianHate」
●ファレル・ウィリアムス
「もうこれ以上耐えられない。昨夜、無実の人達が再び国内テロで亡くなった。僕らは、アジア人のブラザーとシスターを守らなくてはいけない。妻や、姉妹や、娘を、無意味なヘイトによって失った家族の方々へ思いと祈りを送ります。アジア人へのヘイトを今すぐ止めろ。#StopAsianHate」
●カレン・O
「涙、辛い涙」
●トレバー・ノア
個人的に一番感動したのが、先日グラミー賞の司会をしたばかりのトレバー・ノアが、彼の番組『The Daily Show』で訴えていたこと。前大統領の発言からこういうことが起きるのは分かっているのに、何も対処していないのが原因だと言っている。
彼が言うように、前大統領が新型コロナウイルスを「中国ウイルス」などと呼んでいたことが原因のひとつだと思うが、その上に、長い間のロックダウンで人々の怒りが溜まっていることも理由になっていると思う。
昨日NYの日本領事館から届いたメールによると、アジア人へのヘイトクライムの他、発砲事件も急増。理由は「長期間のロックダウンや失業等による精神的不安や怒りの感情を抱える人々が増えていること等、様々な要因が挙げられております。また、ホームレスによる嫌がらせ事案やアジア系住民に対するヘイトクライム等も依然として報告されており、引き続き注意が必要です」と書かれていた。
個人的にも、前大統領の発言以来、外に行く時は帽子とサングラスで出るようにしている。街に荒れた空気があるのは間違いなくて、暗くなったら外に出ないし、コロナ後一度も地下鉄に乗っていない。
LAタイムズによると、2020年のアメリカの6つの大都市でのアジア人へのヘイトクライムは、2019年と比べて149%上昇しているということだ。アメリカ全土では去年1年間でレポートされただけで3800件、そのうちの68%が女性に向けられたもの。レポートされていないものもあるはずなので、実際はこれより多いのではと言われている。
https://www.latimes.com/world-nation/story/2021-03-17/atlanta-shootings-asian-american-hate-crimes
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