DIR EN GREY、大地を蹴り進んだ先の現在地@武道館!
2016.02.06 23:45
『ARCHE』は、こんなにも美しいアルバムだったのか、と思い知らされるライヴだった。人間の業や痛み、苦しみ、醜さおぞましさを映し出すDIR EN GREYの表現は、轟音と叫びにまみれながらも、実は磨き抜かれた鏡のように澄んでいる。
苦悩や狂気から目を逸らさず、何度でも咀嚼することで、DIR EN GREYの楽曲は有機的に進化する。『ARCHE』はその推進力がもろに反映されたアルバムだと思ったが、スキルと直感に裏付けられた今回の重厚な音響美は、とにかく感動的であった。
彼らの演奏の進化がいつも熱狂的なエンターテインメントたり得るのは、言うまでもなく優れたロックバンドだからである。ニューシングルのリリース、そして『VULGAR』、『DUM SPIRO SPERO』、『鬼葬』の記憶を辿る新ツアーも告知された。これも、ただノスタルジーに浸るだけのライヴにはならないだろう。(小池宏和)