スピッツ全アルバムレビュー 11th『スーベニア』【『醒めない』リリース記念】

2016年7月27日(水)に15thアルバム『醒めない』をリリースするスピッツ。
RO69ではリリースを記念して、これまでの全アルバムを振り返るディスクレビュー特集を行います。
『醒めない』リリースまで、1日1作品ずつレビューを掲載します。
本日の作品は2005年発表の11th『スーベニア』です。

スピッツ全アルバムレビュー 11th『スーベニア』【『醒めない』リリース記念】

2005年1月にリリースされた11作目。このアルバム全体を貫いている自由な空気が好きで、前々作の『ハヤブサ』と本作を、なぜかセットにしてよく聴いていたのを思い出す。例えるなら『ハヤブサ』がザ・ビートルズの『リボルバー』で、『スーベニア』が『ホワイト・アルバム』。音の感触として、個人的にそんな勝手なイメージをダブらせて喜んでいた。
共同プロデューサーに、前作『三日月ロック』から引き続き亀田誠治を、エンジニアにスピッツの熱望によりコーネリアスを手がけた高山徹を起用。周知のように、オーケストレーションを用いたワイドな音像と、沖縄音階、スカビート、80年代ニューウェイブ、ヘビーメタルなど、バンドのルーツに根ざす多様な音楽性を、狂騒的なほどに展開した本作だが、1曲目の“春の歌”から聴き進めると、絵本のページを繰って次々と現れる景色に魅了され、いつしか見知らぬ場所に連れ出されているような、旅と彷徨の感覚にとらわれる。歌詞全体を貫くのは、太古からの生命のつらなり、あるいは精子と卵子の出会いという何億に一度の奇跡の物語(だと思う)。

色褪せぬ美しいメロディ満載で、聴く側もどこかでそれを期待してしまうのがスピッツのアルバムだが、本作には、そうした「メロディの専制」といったものとは別種の、バンドで共に音を鳴らすシンプルでリラックスした空気が流れている。アンサンブルの向こうに笑顔が見えるような演奏は、メンバーたちを、そして何より草野マサムネ(Vo・G)自身を、改めて音楽の喜びへと解放したのではなかったか(もちろん本作にも“ありふれた人生”“優しくなりたいな”“正夢”“恋のはじまり”など、息を飲むメロディは満載だが)。ちなみに本作リリース後の「あまったれツアー」では、﨑山龍男(Dr)がツーバスで、田村明浩(B)もビシビシ弾きまくりで興奮したのを覚えている(リズム隊好きなもので)。(岸田智)


なお、スピッツは2016年7月30日(土)発売『ROCKIN'ON JAPAN 9月号』の表紙に登場します。
お楽しみに!

公開済の作品はこちら
2016年7月21日 10th『三日月ロック』:http://ro69.jp/blog/ro69plus/145999
2016年7月20日 9th『ハヤブサ』:http://ro69.jp/blog/ro69plus/145944
2016年7月19日 8th『フェイクファー』:http://ro69.jp/blog/ro69plus/145859
2016年7月18日 7th『インディゴ地平線』:http://ro69.jp/blog/ro69plus/145808
2016年7月17日 6th『ハチミツ』:http://ro69.jp/blog/ro69plus/145806
2016年7月16日 5th『空の飛び方』:http://ro69.jp/blog/ro69plus/145804
2016年7月15日 4th『Crispy!』:http://ro69.jp/blog/ro69plus/145764
2016年7月14日 3rd『惑星のかけら』:http://ro69.jp/blog/ro69plus/145713
2016年7月13日 2nd『名前をつけてやる』:http://ro69.jp/blog/ro69plus/145667
2016年7月12日 1st『スピッツ』:http://ro69.jp/blog/ro69plus/145597
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