ONE OK ROCK全アルバムレビュー 3rd『感情エフェクト』 【『Ambitions』リリース記念】

ONE OK ROCK全アルバムレビュー 3rd『感情エフェクト』 【『Ambitions』リリース記念】

私がONE OK ROCKに初めてインタビューしたのは、この3rdアルバム『感情エフェクト』リリースのタイミングだった。

今インタビューを読み返してみて、そして今作を聴き直してみて思うのは、彼らが目指しているところは変わっていないということ。世界を見据えて音作りをし、リアルな感情を発し続ける……。このブレなさが、今に至るまでの道筋を作り上げたのだな、と改めて思う。楽曲も、この頃ライブをやっていたSHIBUYA-AXのサイズに収まるようなものを鳴らす気はなかったのだろう、と思えるほどのスケール感があるのだ。

とは言え、当時Takaは20歳。ズバリ“20 years old”という楽曲も収録されているが、まさに若さゆえの葛藤や青臭さ、勢いなどが刻まれていて、今となっては新鮮に聴こえるところもある。ほかには、ライブで起爆剤となっていた“恋ノアイボウ心ノクピド”、彼ら自身がキッズであることが映し出されている“Viva Violent Fellow~美しきモッシュピット~”など、何よりも彼らがライブを愛していることがわかる楽曲が印象的だ。

個人的なベストソングは“皆無”。今も「皆無」という言葉を聞くと、頭の中でこの楽曲が流れ出す。それだけキャッチーということだろう。リズミカルな日本語使いや、その中に秘めた痛烈なメッセージ、疾走感に満ちた演奏など、当時の彼ららしさがギュッと詰まっている。後に彼らは世界を飲み込む迫力や、喜怒哀楽を繊細に届ける表現力、アリーナをも制圧する演奏力を増していくこととなったが、こういったキャッチーな基盤があったからこそ、多くの人を惹きつけている今があるような気がしてならない。(高橋美穂)
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