ザ・キュアー、『ウィッシュ』30周年盤リリース。新曲連打の2022年を経て、いよいよ待望の新作も!?

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2022年もそろそろ終わりが見えてきたこの段階になって、ザ・キュアーの周辺が俄かに騒がしくなっている。10月にワールドツアーを開始した彼らが、いきなり新曲を立て続けに3曲(“Alone”、“Endsong”、“And Nothing Is Forever”)も初披露したのだ。そもそもロバート・スミスは14年ぶりのニューアルバムが2連作で、第1弾の『Songs Of A Lost World』は「10月にリリース予定」だと言っていたものの、当然のようにリリースされなかった。

でも、こうして新曲が発表されたことで少なくともニューアルバムの実在は確認できたし、ツアーに合わせてペリー・バモンテ(G /Key)も復活した。何度目の正直かは忘れたけれど、今度こそ期待して間違いなさそうな風向きだ。

その期待をさらに高めてくれるのが、『ウィッシュ』の30周年リイシューだ。“フライデイ・アイム・イン・ラヴ”や“ハイ”を筆頭に綺羅星の如きキラーアンセムを収録した『ウィッシュ』は、キュアーが限りなくポップに接近した一作であり、カルトバンドの殻を破ってメインストリームでの成功を収めた転機作だ。

転機作だけに揺れ動くバンドのモード、躁鬱のギャップが際立つアルバムでもある。ただし、最高傑作として名高い前作『ディスインテグレーション』との比較もあって、いまいち過小評価されてきた感も否めない。だからこそ、このタイミングでロバート・スミス自らのリマスタリングによって『ウィッシュ』がリイシューされる意義は大きい。その影響力は未だ衰え知らず、近年のエモやゴスのリバイバルを受けてZ世代にまでキュアー・サウンドが浸透しつつある今、彼らの最も間口の広いアルバムが再定義されることになるからだ。

今回のリイシューは、もちろん往年のファンにとって垂涎の内容になっている。3CDのデラックスエディションは全45曲収録で、うち24曲は未発表曲(1993年にカセット限定リリースされた『Lost Wishes』の4曲も初CD化!)だ。この時期のキュアーの多作ぶりに改めて驚かされるし、ロバートのワンマン体制前夜の生き生きとしたバンドケミストリーが蘇ってくるようなデモ集になっている。世代を超えてキュアーと「再び出会える」リスニング体験がここにある。 (粉川しの)



ザ・キュアーの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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