フジロック2日目、不安定な天候すら押さえ込んだケンドリック・ラマー

フジロック2日目、不安定な天候すら押さえ込んだケンドリック・ラマー

大半の時間を降りしきる雨と過ごすことになった今年のフジロック2日目だが、まずはGREEN STAGEのトリを飾ったケンドリック・ラマーがベストアクト。開演時間にピタリと雨が収まり、期待を凌ぐ圧巻のパフォーマンスを繰り広げていった。猛烈なグルーヴを育む辣腕バンドはほとんどステージ袖の部分に姿を隠し、ケンドリックがオーディエンスの視線を一人で引きつけるように、終始キレッキレのラップとアクションを繰り出してゆく。3日間で幾多のアクトを見てきた中でも、その異様な存在感は飛び抜けていた。

観る者の目を楽しませる「カンフー・ケニー」のムービーシーンでは蛇拳使いの女拳士とバトルし、また優美に舞うダンサーひとりにステージを預けるなど、片時もオーディエンスの集中力を途切れさせない構成。パワフルなパフォーマンスだけでも十分なのに、終盤は“LOVE. (FEAT. ZACARI.)”から“Bitch, Don’t Kill My Vibe”で感涙させ、“HUMBLE.”でトドメを刺しにくるという周到ぶりだ。大きなステージを引き受けるエンターテイナーとしても、今のシーンの頂点にいることをまざまざと感じさせていた。アンコール“All The Stars”の多幸感には、もはや言葉もない。

ケンドリックと揃ってGREEN STAGEにステップアップしたスクリレックスは、前回のWHITE STAGEのように派手な宇宙船のステージセットは無かったけれども、フューチャーハウスからハードミニマル、ダブステップにロックと、劇的にして型破りなスクリレックス流のミックスがひとつの新たな王道となったことを伝えるステージだ。プー・ベアとの“Would You Ever”など近作曲の反応は今ひとつだが、Jack Ü曲や“Bangarang”の盛り上がりは鉄壁。最後にはスペシャルゲストのYOSHIKIが登場し、ピアノ伴奏の中でスクリレックスがX JAPAN“ENDLESS RAIN”の歌メロをギター演奏→上裸になったYOSHIKIがドラムを叩いてダンストラックとセッションしてみせた。

注目の新人アクトでは、何と言ってもスーパーオーガニズムである。ローファイポップもヒップホップも自由に伸び伸びと振り回す若い感性で、脱力感と賑々しさのバランスも絶妙。ただ、オロノ(Vo)の力強いボーカルを含めた存在感は、すでにロックスターの雰囲気を纏っていて驚かされた。日本人であることを否定するジョークも飛ばしていたが、国籍に捉われて評価されることを嫌う、多国籍バンドとしての主張なのかもしれない。また、午前中から登場したスコットランド出身のルイス・キャパルディは、ふくよかなテナーボーカルを軸に据えた正攻法のパフォーマンスが今日では新鮮に感じられて素晴らしかった。早起きは三文の徳である。

5年ぶりの新作を携えたMGMTのステージは、安定した演奏力も成長を伺わせて感慨深い。人気曲も連発する威風堂々のポップなパフォーマンスだ。花柄のシャツでタイト&クリアなギターを奏でるジョニー・マーは、日中のステージでコンテンポラリーなダンスポップからザ・スミス曲まで懐の深さを見せつける。世界のパンク/レベルミュージック枠としてフジ帰還を果たしたバスク出身のエスネ・ベルーサの大熱演には、個人的に敢闘賞を進呈したい。

ユニコーンマキシマム ザ ホルモンといった国内ロック勢のビッグネームたちが、重要な時間帯にフジ初出演のステージを踏んでフィールドを沸かせたことも大きなトピックだろう。そしてWHITE STAGEのトリを担ったのはBRAHMAN。ハードコアなナンバーで飛ばしに飛ばした後、TOSHI-LOWが日本に上陸した台風について「西日本の被害が、少しでも軽くて済みますように」と語り、もはやBRAHMAN独自のレパートリーと呼ぶべき名カバー“満月の夕”を届けたのには胸を打たれた。(小池宏和)

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