2016年に再集結したあと、やはりずっと待っていたのはアルバムだった。彼らはアルバムで語りたいバンドなのだ。活動休止前最後のアルバム『8』から数えれば約19年ぶりの新作。ドキドキしながら一聴して時間がかかった意味を理解した。「
THE YELLOW MONKEYはアルバムを出してこそ」という思いを誰より理解していたのは本人たちだったのだ。最高だ。1曲目の“この恋のかけら”の音像を耳にして、後ろ向きではなく現代のバンドサウンドを追求する彼らの強い意志を感じる。「いつかカリフォルニアでもレコーディングしたいね」と、活動休止前に語り合っていた彼らが、それを19年越しで実現させたLAレコーディング。だからか、サウンドがほどよく乾いていて“Balloon Balloon”のようなメロディアスでキャッチーな楽曲もウェットになりすぎず、ドライに仕上げたボーカルバランスやキレのいいリズムが、彼らのグラムロックをとてもフレッシュに感じさせる。これはまさしく2019年のTHE YELLOW MONKEYの音で、今こそリリースする意味のある作品。ツアーが楽しみになった。(杉浦美恵)