ザクザク刻まれるギターリフの推進力が光る表題曲は、2回目、3回目とサビを繰り返す度に尻上がりに音圧が増していく一方で、アウトロ無しに唐突に終わるストレンジな構成が実にキャッチー。12ヶ月連続リリースの第5弾ながら、これまでの4作とまたしても違った方向性を提示してみせている。それゆえ、リリックの核心となる《いつでも僕がなりたい人に/そうさ/なるべきさ/なるべきだ》というラインが、確かに2023年の解散に向かっていながらもリリース毎に進化を続けてやまない
BiSHの現在とリンクし重い説得力を持って響くのだ。カップリングの“Why are you alive??”はスケールの大きいサビに配置されたオーディエンスとの共同作業を想定したであろう《ヘイ》という掛け声が胸を熱くするミドルチューン。ライブの場での熱狂が約束された楽曲であると言い切ってしまっていいだろう。この連続リリースにおいて彼女たちは新たな挑戦とこれまでの成果の収穫とを縦横無尽に行ってきている。終わりを前に最も自由に立ち振る舞うその在り方は、「バンド」としてひとつの理想的な姿ではなかろうか。(長瀬昇)
『ROCKIN'ON JAPAN』7月号より