存在そのものが「個」であると同時に「場」になる人がいる。ボカロP「ぬゆり」はまさにそんな人なのだと、ここに届いた彼のソロプロジェクト「Lanndo」の1stフルアルバムを聴いて感じる。
Eve、suis(
ヨルシカ)、ACAね(
ずっと真夜中でいいのに。)、
Reol、
須田景凪、
キタニタツヤ、
びす、七滝今といったシンガーたちの多彩な声色がアルバム全体を彩っているが、同時に本作は、ぬゆり個人の「叫び」が作品を通して溢れ出し、一貫したトーンを与えている。《(どうして進めないの)/分からないままで僕たちは暮らすだけだ》(“青く青く光る”)――ぬゆりは、自らの迷いも痛みも無力感も、音楽の中で隠していない。その痛みは「僕」という主語のものであり、「僕たち」という時代のものにもなりえる。
最後を飾る“ロウワー”は、ぬゆり名義曲のセルフカバーで、本作で唯一、ぬゆり自身が歌唱を担っている。《僕らが離れるなら 僕らが迷うなら/その度に何回も繋がれる様に》――この哀しさ、この希望。人選もさることながら、その詩情においても、「今」を突き刺すサウンドトラックと言えるだろう。(天野史彬)
『ROCKIN'ON JAPAN』1月号より